桜満開の日曜日

takase222012-04-08

午前中、図書館に調べものに行く途中、国立市大学通りを通った。
満開の桜の木の下でたくさんの人がお花見を楽しんでいる。
桜の下に菜の花、ムラサキハナナと色の競演。
去年の自粛ムードの反動か、今年はいつもより人出が多い感じがする。

よく晴れたので、何年かぶりで花見に行こうと思い立った。
千鳥が淵の墓苑に2年ほどご無沙汰だったのを思い出し、行くことに。娘も付いてきた。九段下の駅がもう大混雑。ここは北の丸公園、千鳥が淵、靖国神社と桜の名所が集中している。歩道が人でぎっしり、有名神社の初詣状態。
満開の桜、桜。すばらしい。見物の人の気持ちが高揚しているのがわかる。やはり日本人は桜なんだね。
はじめに千鳥ケ淵戦没者墓苑
大東亜戦争の海外での戦没者は240万人(うち軍人・軍属210万人)で、遺骨(あるいは遺骨に準じるもの)が戻ったのが約半数。誰のものとも分からない遺骨35万柱がここに納められている。
娘は、日本にも諸外国と同じく「無名戦士の墓」があることを知らなかったが、ここがそうである。なるべく毎年お参りに来るようにしている。
ここに私が初めてのスクープで見つけた数百柱の遺骨も眠っている。
http://d.hatena.ne.jp/takase22/20080818
http://d.hatena.ne.jp/takase22/20080913
私にとっては特別の場所であり、また、ここに来るようになって「国家」というものを考えるようになった。
入り口に戦没者の地図があり、そこで娘にレクチャー。
「中国での戦没者46万人で、これは15年戦争で亡くなった数。フィリピンは52万人で、これは最後の1年で死んだ数だ。密度が異常だろ」。
極端に言うと、フィリピンはどこに行っても日本兵の遺体がころがっている。私が駐在していたころは、日本兵の認識票から軍刀まで、さまざまな遺品がみやげ物のように売られていた。今でも、きちんと探せば遺骨がたくさん出てくるはずだ。
フィリピン現地に「委託」していた「空援隊」の不祥事(この事件で登山家の野口健氏が活動から手を引いた)で現地のフィリピン人の骨が日本人のものとされて墓苑に入れられた事件を覚えている人もいると思うが、遺骨収集は今も続いている。
墓苑の係りの人と話したら「8年ここで働いていますが、お参りに来る人は、きょうが一番多いですね。うれしいです」と興奮気味だった。終戦記念日より多いという。花見客がついでに立ち寄ったのだろう。
毎年の参拝者は靖国神社が600万人、千鳥ケ淵墓苑は終戦の日に首相が参拝する国の公的施設なのにわずか10万人。ついでにでもいいから、ぜひお参りしてください。
ついで靖国神社へ。
私は、ドイツ政府の兵士の悼み方と比較しながら、靖国神社のあり方を根本的に批判する番組をプロデュースしたことがある。ただ、靖国神社にお参りにもいく。「間違った戦争」だから、あるいは理想的な施設でないからといって、靖国は、無視したり全否定できる存在ではない。靖国に汲むべきエッセンスもあると思うのである。
靖国神社もきょうの人出はすごかった。若い人がけっこう多い。出店がずらりと並び、花見客が酒盛りをしている。千鳥ケ淵は墓地、つまりお墓なので、さすがに酒を飲むのはためらわれるが、こっちは神社だから楽しんでいいのだ。
で、ここで花見酒。飲みながら娘に、ここは墓地と違って遺骨はなくて、戦死者を神として祀っているというイロハから靖国問題を説明する。
いい気持ちになって飲んでいると、はらはらと花びらが散ってくる。
桜の命は短いな。来年また桜が見られるかな。
花見は、いろいろと物思いを誘うものである。