仲よく楽しく生きて楽に死ぬ

takase222012-01-30

きのうの日曜日は、私が会員になっている「サングラハ教育・心理研究所」設立20周年にあたり、藤沢市の研究所の近くのインド料理屋で、ささやかな宴があった。
この研究所は、私の人生の師である岡野守也さんが主宰しており、生きていくうえで最も大事なことをここで学ぶことができたと思っている。
サングラハとは「全体的・統合的に把握する」という意味で、大乗仏教の基本経典「摂大乗論=マハーヤーナ・サングラハ」から命名された。
92年1月の設立趣意書には、研究所の目的がこう書かれている。
◇ どうしたら、人間すべてが、自分自身とも他者とも自然とも調和した、「仲よく楽しく生きて楽に死ぬ」ことができるような生き方に到達できるか、徹底的な探求を試みること
◇ そのためには、近代的な理性・科学主義・個人主義ヒューマニズムは不十分であり、霊性と理性の統合、自己実現から自己超越へという意味での〈意識の変容〉が必要条件―十分条件ではない―だと思われるので、そのための理論と方法とそしてなによりも実践そのものを探求すること
◇ その時その時に到達した探求の成果を、自己絶対化することなく仮説・試案・提案といったかたちで、しかしやはり広く社会に提示していくこと
◇ そのことによって、人類の全体的変容―サヴァイバルになにほどか貢献すること

20年経って、ここに書かれていることは、ますます重要になっていると思う。
すばらしい会なのだが、まだあまり知られていない。関心を持たれた方はぜひHPをのぞいてみてください。岡野さんによる会の紹介メッセージもビデオで見られます。
http://www.smgrh.gr.jp/shoukai.html
岡野さんは、「持続可能な国づくりの会」というグループも主宰していて、私はこちらにも入会している。
「生き方」の問題が、どうして「国づくり」などに結びつくのか。
サングラハでは、こころの成長や覚りを、「わたし一人」だけのものとしてはとらえていない。大乗仏教の「菩薩道」は、わたし一人が悩みから解放されて気持ちよくなるのではなく、どろどろとした現実のなかに分け入って衆生とともに歩むなかに覚りがあると教えている。
「自分自身とも他者(社会)とも自然とも調和」する生き方をめざし、「人類の全体的変容―サヴァイバルになにほどか貢献する」。
地球環境をできるだけよい状態で次世代に引継ぐには、広報・教育や政治的変革も必要になる。
私が岡野さんに出会ったのは、90年代半ばまでさかのぼる。
このブログでも書いてきたが、私は若いころは共産党の活動家で、「赤旗」を配ったりもしていた。右翼、統一教会革マル派毛沢東派とさまざまな党派と闘ったあと、わけあってマルクス主義から離れた。
そこから、生きる意味を探す旅に出、仏教に出会い、インドでダライラマ法王の「カーラチャクラ灌頂」(チベット仏教の入門儀式の一種)を受けた。今も寝床のそばには、法王とのツーショットの写真を飾っている。
本を参考に、我流でチベット密教の瞑想をやるうち、これは日本人には向かないのではないかと疑問に思っていたころ、岡野さんの『トランスパーソナル心理学』という本に出会った。どうやらこの人は「覚り」の構造を分かっているらしいと思い、調べると、朝日カルチャーセンターで講義していた。
日記をひっくり返してみたら、1995年の10月11日に初めて岡野さんの講義を受けている。
(ちなみに、私は中学1年のときから日記を続けている)
「岡野さん『自分がわかる唯識』第一回目。期待にたがわぬ人柄と名講義」と感想が記されている。
すでに17年も教えていただいていることになる。
人生、これから先が長くないことを考えると、そろそろ、覚りの入り口くらいには入らなくては。
というわけで、今年の目標:坐禅を毎日やること
毎日坐るのは元日からまだ続いている。
酔っ払っていても坐る、1分でも坐る。
やるぞ。(写真は愛用の坐蒲)