広がる自治体の電力入札

takase222012-01-25

月曜の夜、東京は大雪が降った。
ある番組の打ち上げでしこたま飲んで、帰ろうと駅へと歩いたのだが、雪がしんしん降ってくると人恋しくなって、昔のなじみの飲み屋で一人で飲みなおした。一昨年オフィスを引っ越してからはすっかりご無沙汰だった。
女将が元芸者で、話に登場する政財界のお客がすごいのである。元首相、大臣クラスがごろごろ。来日したビートルズが、お忍びで料亭に来て、お土産をもらった話も聞いた。いつか、彼女の見聞きした花柳界についての本を書きたいなと思っている。
久しぶりね、これはおごりよ、食べなさい、飲みなさいとすすめられてすっかり深酒してしまった。
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いやあ、テニスってのはものすごい体力がいるんだな。
きょう午後、錦織の全豪テニス準々決勝をテレビで観て驚いた。テニスの国際試合など、まともに観たことがなかったので。またぐらショットが印象に残った。
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野田佳彦首相が24日行った施政方針演説については、東京新聞が明快にばっさりと切っていた。
《消費増税に力点を置いた分、過去二度の所信表明演説と比べ、東日本大震災からの復興や東京電力福島第一原発事故対応の優先度が低下した印象が強い。((略)
 原発事故に対する表現も変わった。以前よりも厚みを増したのが、原発再稼働に向けた記述だ。
 昨年九月の演説では脱原発依存原発再稼働による電力確保の「二兎(にと)」を追うと宣言した。
 今回は「原子力への依存度を最大限減らす」との方針を示す一方、再生可能エネルギー導入など「脱原発依存」実現への具体的な取り組みに関する言及はない。
 むしろ、エネルギー政策について「経済への影響、環境保護、安全保障などを複眼的に眺める視点が必要だ」と指摘。四月には稼働する原発がゼロになる事態を防ぐため、再稼働容認への環境を整える思惑があるとみられる》
「複眼的に」という表現が出てきたら、それは再稼動しましょうという伏線だ。野田首相は、消費税にからめて、過去の自民党の首相二人を引用したが、どんどん自民党化しているような印象だ。
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きのうの新聞に、「世田谷区 電力入札へ」という見出しの記事があった。
《東京都世田谷区は二十三日、新年度から区役所庁舎や区立小中学校など百十一施設で使用する電力について、競争入札を実施すると発表した。これまでは東京電力のみから購入していたが、東日本大震災による原発事故で電力供給が不透明になる中、供給体制を多様化することにした。経費削減の狙いもある。
 入札は二月下旬に行い、電力自由化で参入が進む特定規模電気事業者(PPS)に参加してもらう。電力の入札は、都内では立川市国立市などが導入しているが、二十三区では初めて。対象は消費電力が多い区役所本庁舎や支所、区民会館、小中学校などで、区施設全体の一部。(略)
 競争入札によって、年間六億七千万円の電気料金の3%にあたる二千万円の削減ができると見込む。さらに東電が事業者向けの電気料金を値上げした場合、値上げ分を含めて一億一千万円の節約になるという。(略)
 PPSは電力自由化に伴い電力小売りに参入した事業者。企業の余剰電力を買い上げる事業者や、自前の発電施設を持つ事業者がある。電力調達コストや人件費の削減で、電力会社より安く供給できるという。送電線は自由化されておらず、既存の電力会社に使用料を払って送電している。ガス・石油会社や商社などが事業展開している》(東京新聞
18日のブログで、経産省が毎年入札で電気の購入先を決めていて、今年度は丸紅が落札していることを書いたが、丸紅がこのPPSの一社である。
http://d.hatena.ne.jp/takase22/20120118
日本でも1990年代から小売の一部自由化が行なわれ、大口使用者に限って、10の電力会社以外の企業から電気を買うことができるようになった。電気小売事業に新規参入した事業者をPPS(特定規模電気事業者)といい、いま約50社ある。
パナソニック新日鉄などおなじみの会社の名前も見える。
http://www.enecho.meti.go.jp/denkihp/genjo/pps/pps_list.html
地方自治体でもコスト削減のため、電力需要入札が広がり、2割近い経費削減に成功したところもある。福島の原発事故と東電の電気料金値上げで、入札で決める自治体は増える一方だろう。
(つづく)