優しくなければ生きている意味がない

takase222012-01-03

例年のように、谷保天満宮に初詣に行く。
おみくじを引いたら「大吉」。
初詣の帰りは、毎年「ひょうたん島」という喫茶店に入る。娘らは決まって、りんごスープをたのむ。もうこれはうちの「儀式」である。店では、正月にしか来ない変な客だと思われているだろう。
家族みな無事に正月を迎えられて、天に感謝。
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きのう引用した「蛇のように賢く」の文章に対して、とても感動したが誤りがあるとの指摘を受けた。
「引用文の最後にある『カサブランカ』は誤りで、レイモンド・チャンドラーの『プレイバック』のセリフです。ハンフリー・ボガートもチャンドラーの小説に出てきそうなキャラなので混同したのでしょう。」
「男は強くなければ生きていけない・・」という有名なセリフのことである。指摘してくれたのは、文学にも映画にも通じている三浦小太郎さんだ。
本筋のところではないが、へえ、そうなのか、とネットで少し調べてみた。
原文は;
If I wasn't hard, I wouldn't be alive. If I couldn't ever be gentle, I wouldn't deserve to be alive.
フィリップ・マーロウ」(チャンドラーの小説中の探偵の名前)のWikipediaでは;
《作中のヒロインから、「あなたの様に強い(hard)人が、どうしてそんなに優しく(gentle)なれるの?」と問われて。
清水俊二訳は「しっかりしていなかったら、生きていられない。やさしくなれなかったら、生きている資格がない」(『プレイバック』(早川書房、1959年10月)第25章)。
生島治郎訳は「タフじゃなくては生きていけない。やさしくなくては、生きている資格はない」(『傷痕の街』(講談社、1964年3月)あとがき)。
矢作俊彦『複雑な彼女と単純な場所』(新潮文庫、1990年12月)では、「ハードでなければ生きていけない、ジェントルでなければ生きていく気にもなれない」が正しいとしている。》

「男は強くなければ生きていけない。優しくなければ生きている資格がない。」
と「男」が入った経緯については;
《この訳は実は清水俊二さんの訳ではないのです。この作品の中ではこうなっています。尾行していた相手の女性とベットを共にした翌朝のことです。
『「あなたのようにしっかりした男がどうしてそんなにやさしくなれるの?」と、彼女は信じられないように訊ねた。
「しっかりしていなかったら、生きていられない。やさしくなれなかったら、生きている資格がない」』
これを作家の生島治郎氏が「タフでなくては生きて行けない。やさしくなくては生きている資格はない」と訳して、処女長編「傷痕の街」のあとがきで、ハードボイルドとは何かを説く為に引合いに出したのだそうです。そのあと角川映画森村誠一氏の「野生の証明」のためのテレビコマーシャルのキャッチコピーとして、勝手に「男は」の一言を付加えて放映したのが上の台詞だと、向井敏氏の「探偵日和」(毎日新聞社)に書いてありました。》
http://homepage1.nifty.com/y_nakahara/chandler8.html
hard と gentle の意味のとり方になるだろうが、私なら、
「厳しくしないと生き抜けない。優しくなければ生きている意味がない」と訳しておこうか。
優しさは、生きる喜びにつながっているのだろう。