放射能による健康被害6-ICRP

takase222011-06-19

ホタルブクロが花をつけている。
日本古来の花らしい。関東ではそろそろ蛍も出てくる季節だ。
イタリアの国民投票では、原発反対が95%と圧勝した。原発に関する国民投票は2回目で、チェルノブイリ事故の後には3つの原発の中止を国民投票で決めている。
一方、事故当事国の日本では、原発推進の声がまだ少なくない。
メディアが原子力エネルギー問題を正面きって取り上げてはこなかったことも背景にありそうだ。私自身、恥ずかしながら、「もんじゅ」の問題や青森県六ヶ所村で何が起きているのかなど、今回の事故が起きてから勉強した。大事なことが進行していたのに、よく知らなかったし、原発で事故があったと聞いても、何とかなるのでは、という楽観もあった。
原発は安全という宣伝が今も影響を残していると思う。
電力会社の経済力は大きいし、三菱、日立、東芝という巨大企業が原発の設計・製造を行い、関連産業の裾野も広い。これは社会的、さらには政治的な力へとつながっていく。
今の政局劇にも影響を及ぼしているかもしれない。
菅首相の側近がこう言ったという。
「浜岡の停止要請と前後して、菅首相脱原発のエネルギー政策を打ち出すと明言した。さらに電力会社が嫌う発送電分離にも前向きだ。枝野幸男官房長官東京電力に出資している銀行の債務放棄に触れた。一連の動きが、電力会社や財界、自民党の神経を逆なでした。原子力既得権益グループの『虎の尾』を踏んだのかもしれない」
朝日新聞 星浩編集委員の「政治考」18日)
さて、今朝の朝日新聞GLOBEの特集「放射線、リスクを読み解く」は、健康被害の問題について整理していた。http://globe.asahi.com/feature/110619/01_1.html
今の日本の対策のよりどころをたどれば、ICRP(国際放射線防護委員会)にいきつく。
この組織は、無報酬の250人からなり、本部も事務局オフィスももたないという。
基本的な考え方はこうだ。
累計で100ミリシーベルト放射線を浴びると、将来的に、がんや白血病で死ぬリスクを0.5%増やす。100ミリ以下の低線量被曝では確かなことはいえないが、対策上は直線的に比例関係にあると推定する。要するに、放射線は、少しであっても浴びないほうが望ましいということだ。
これが一応、国際的な標準理論として扱われているわけである。
福島の原発事故については、目安の数値を3月21日に発表していた。
放射線発生源がコントロール下に置かれたあとも、汚染地は残りうる。
当局は多くの場合、住民が土地を捨てるよりは住み続けることを許すために必要な除染措置を施行する。この場合、委員会は、長期的目標としては放射線レベルを1mSv/年へ低減することを前提にしつつも、これまでのように、基準レベルを1mSv/年〜20mSv/年の範囲内で選択するよう推奨するものである」(高世訳)
http://www.icrp.org/docs/Fukushima%20Nuclear%20Power%20Plant%20Accident.pdf
一方、「緊急事態」では「20〜100ミリシーベルトの範囲から選択」するよう推奨している。
日本政府は、現在が「放射線発生源がコントロール下に置かれた」状態とみなして「1ミリから20ミリ」といっているわけだ。
今は「緊急事態」を脱した状態なのか。
(つづく)