放射能による健康被害をどう考えるのか3

takase222011-06-16

駅までの道、ヒメジョオンの多いこと。
アスファルトの割れ目でもどこでも、元気にしぶとく咲いている。
勉強会の前、有田さんに、福島でヨウ素剤は配布されたのか分かりますか、と尋ねたら、すぐに問い合わせてくださった。
回答は「浜通り中通りの25市町村に対し、県が75万人のヨウ素剤を配布済み。3月20日ごろには配布完了。75万人分は、もともとの県の備蓄分と足りない分は製薬会社から確保した」というものだ。
放射性ヨウ素131が、特に子どもの甲状腺に取り込まれると、がんになりやすくなることはよく知られている。
チェルノブイリ特集の第3編は「甲状腺がん」を扱っている。
http://www.youtube.com/user/takase22#p/u/3/29F4psKbw_s
主人公のビクトリアさんは事故のとき生後4ヶ月。政府が事故を隠していたので、お母さんは彼女をベビーカーで外に連れ出し、普通にミルクを飲ませていたという。ヨウ素131は事故のときの爆発で大量に大気に振りまかれ、子どもの体内に入ったと思われる。
子どもが取り込む前に、ヨウ素剤を飲んでおくと、ヨウ素131が甲状腺に入ってくるのをブロックできる。だから、事故発生の直後すぐに飲ませなくてはならないのだ。
上の回答では、子どもに渡ったのか、いつ渡されたのかが分からない。
ベラルーシに5年半滞在し、医師として甲状腺がんの子どもたちの治療にあたった、菅谷(すげのや)昭・長野県松本市長は初期の医療処置を疑問視している。
原発事故の場合、最初に出るのが放射性ヨウ素。しかし市民にヨウ素剤を飲ませたのかどうか、誰も把握していない。チェルノブイリ被害の大半は甲状腺がん。だからこそ初期の段階でヨウ素剤を飲ませたかどうかが重要なのに、その点を抜きに議論している」(東京新聞16日)
松本市市営住宅を無償で提供する範囲を、原発警戒区域などに限らず、福島県内で15歳以下の子どもを持つ世帯に拡大。夏休みに飯舘村の児童を松本市のキャンプ地に招くプランも計画中だ》(同記事)
子どもをサマーキャンプなどで転地させる策は早く実施してほしい。
ただ、年配の人の移住(避難)に、私が大きな疑問を持ったのは、一つには、チェルノブイリの立入り禁止地区の農民を見たからであり、もう一つには、飯舘村の「いいたてホーム」の避難をめぐる事情を知ったからだ。
《菅政権は17日、(略)計画的避難区域に指定された福島県飯舘村特別養護老人ホームや8事業所について、職員や従業員が村外から通い、現状の場所で事業を継続することを特例的に認めた。また川俣村の3事業所についても継続を認めた。
 年間累積放射線量が、20ミリシーベルトを超えないよう自治体が管理することを要件とした。自治体からの要望に応じた措置で、今後、弾力的に運用される可能性も出てきた。
 飯舘村は、避難によりホームに入居する高齢者の体調が悪化するおそれがあることや、従業員の雇用の確保の観点から特例的な対応を求めていた。
 政府の原子力災害対策本部(本部長・菅直人首相)は、放射線管理がきちんとされ、職員や従業員の同意が得られていることを条件として提示。線量が低い室内で作業する▽線量計を従業員に持たせる――などの対策を村がとることで特例を認めた。
 例外が認められたのは、村に唯一の特別養護老人ホーム「いいたてホーム」。106人のお年寄りが入所しており、最高齢は102歳の女性で、平均年齢は84.7歳。要介護度も平均で4だ。うち60人は車いすが必要で、30人は寝たきり状態。ほとんどの人が介助なしでは歩けないという。
 これまでの国の原則では、複数の受け入れ先に避難することになっていた。三瓶政美施設長は「避難の負担によって亡くなったと思われる例も今回の震災では起きている。避難を回避できたことは大きい。職員らの健康管理については、今後国などから具体的な話が出てから進めたい」と話した》(朝日新聞5月18日)
「いいたてホーム」を避難させたら、間違いなく何人もが亡くなっただろう。
その一方で、避難したいのに避難できない人がいるという。
(つづく)