チェルノブイリ25周年にマップ公表

チェルノブイリ原発事故25周年でウクライナでは、ヤヌコビッチ大統領とロシアのメドベージェフ大統領が列席して記念式典が開かれた。
2週間前、私たちがチェルノブイリ町を訪れたとき、その式典の準備で、公園や並木を整備していた。チェルノブイリ町は、立入り禁止区域の30キロ圏内にあるが、例外的に3千人以上の人々が住みツアー客の宿泊施設もある。
NHKのニュースでは、篠原副大臣のナロジチの「菜の花プロジェクト」見学が紹介されていた。私が行ったときは、ようやく葉が地面から出てきたばかりだったが、もう20センチくらいの高さに育って、一面緑の畑になっていた。
さて、福島の事故後はじめて「汚染マップ」が公表された。本来は、この情報があってはじめて周辺地区のゾーン分けができるはずなのだが、順序が反対になっている。
《政府と東京電力の事故対策統合本部は26日、福島第1原発事故を受け、周辺地域で計測した放射線量を基に作成した放射線量分布マップを初めて公表した。
 測定地点ごとの数値や「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)」の試算図は出されていたが、実際の測定値に基づき面的に評価した汚染マップの公表は、事故後1カ月半たってようやく実現、政府の情報公開の姿勢が問われる。
 4月24日時点の放射線量を等高線のような形で表示した。屋内退避区域外とされた原発から半径30キロ圏外でも毎時20マイクロシーベルトの地域があるなど、依然として高い放射線量となっていることが裏付けられた。
 マップでは、原発の北西方向を中心に放射線量が高くなっている。一方、南西方向では警戒区域となった半径20キロ圏内でも、毎時1マイクロシーベルトを下回る地域があり、方角によってばらつきが大きいことが読み取れる。
 文部科学省が、事故からちょうど1年となる来年3月11日までの積算被ばく放射線量の推定分布マップも作成。「計画的避難区域」となった福島県浪江町の一部では、推定値が235・4ミリシーベルトとなった。
 政府は、1年以内の積算被ばく線量が20ミリシーベルトに達する恐れのある地域を計画的避難区域としたが、その11倍以上となる》(26日共同通信
やはり、原発からの距離ではなく、「ばらつきが大きい」という。
今後、土壌の汚染に関する地図も公表されるという。土壌汚染との闘いは、簡単な解決策がない。チェルノブイリ事故のあと、かなり広い面積で表土をけずるという措置を採ったが、福島県でもそれを行うところが出てきた。
福島県郡山市は25日、福島第一原発事故による放射線量の数値が高かった市内の小中学校と保育所の計28か所で校庭の表土を除去すると発表した。
 県教育庁によると、県内の教育機関放射線対策の土壌改良を行うのは初めて。
 国の暫定基準では校庭の放射線量が毎時3・8マイクロ・シーベルト以上の場合、屋外活動を制限するとしており、県内13の小中学校、幼稚園などが該当していた。
 郡山市で基準以上だったのは小学校1校だけだったが、市は地表から1センチの高さの放射線量について、小中学校は毎時3・8マイクロ・シーベルト以上、保育所や幼稚園では同3・0マイクロ・シーベルト以上の場合は表土を除去するという独自の基準を設定。県の調査結果を基に、除去作業を進める学校、保育所を決めた。取り除く表土は厚さ1〜2センチを予定し、早ければ今週末から行う。除去した土は、市内の最終処分場に廃棄する。
 同市は「放射線が土壌に深く浸透する前に実施し、いち早く学習環境を整えたい」としている》(26日読売)
除去した土の処分はこれでいいのかという疑問は残る。
「菜の花プロジェクト」もそうだが、「先輩」の経験を学ぶという姿勢でチェルノブイリ事故を本格的に見直すべきではないだろうか。