放射線200倍の所にツーリストが・・

takase222011-04-17

きょう、フジTV「MRサンデー拡大特番『原発危機 克服への闘い』」に、私たちのウクライナ取材の素材を提供した。
今も放射線が強い場所はあるのかというのが、まずは関心のあることだと思う。
今回、放射線測定器を持って各地を回り、最もその値の高かったのは、原発に最も近い町、プリピャチ市の遊園地のマンホールの上だった。
聞くと、下を高度に汚染された水が流れていたという。
番組では、10マイクロシーベルト/時(東京あたりで0.05だから、その200倍)を示したシーンを使っていたが、直前にはその倍くらいの値が出ていた。ガイドが、長い時間そこにいないでくださいと私に叫ぶが、すぐそばでは観光客が記念写真を撮っている。
そこは、写真の観覧車近くの地点だ。
実は、チェルノブイリにはいま観光ツアーがあり、かなり深いところまで見ることができる。
日本人向けのHPでは、4月26日の「事故25周年記念日」を控えこんな宣伝文が載っている。
《86年4月26日、チェルノブイリ原子力発電所4号炉の原子炉が爆発、放射能が大量に放出されました。当初は原発から半径30キロ以内の約11万6000人が強制疎開。その後も広範囲で疎開が続き、計約40万人に増えました。現在、ここはチェルノブイリ原子力発電所の居住禁止区域とも呼ばれ広大な立ち入り禁止区域になって住民が居ない放射能汚染圏で「ゾーン」と呼ばれています。原発事故後25年を迎え過去の惨状と現在を探るツアーに是非ご参加ください》
日帰りツアーから2日、5日、6日コースといろいろあって、希望すれば、原発の制御室まで入れるディープなツアーもできる。
http://www.japanese-page.kiev.ua/jpn/chernobyl-tour-description.html
私が出会ったのは20人の主に西欧からの観光客のグループで、中には小型ビデオで立ちレポをしているテレビ取材者らしき人もいる。30キロゾーンを管轄する役人に聞いたら、私と同じ日に、10カ国の国籍の人間がゾーンに入ったとのことであった。
観光地化していることを、嘆かわしいと思う一方で、人びとが事故と共生していかざるを得ない事実にも目を向けたいと思う。ずっと事故と「付き合って」いかなくてはならないのである。
番組で紹介されたように、ウクライナの多くの人びとが、原発事故は非常に長い闘いになりますよ、と私に語った。
私たちはその「覚悟」を求められている。