アジアを中国に任せてはいけない

中国が緊急6カ国協議の開催を呼びかけた。
中国の「関与政策」というのは、ここまでいくのか。どんなにあばれても、よしよししてあげるという図に見える。これでは、北朝鮮にむしろ挑発のレベルを上げさせる動機づけを与えることになる。
北朝鮮が何かことを起こすと「中国の影響力に期待する」ということになっている。
だが、その中国が問題だ。
北朝鮮の党代表者会開催に胡錦涛国家主席は「最高指導機関が選挙で誕生したことを熱烈に支持する」との祝電を送って、金正恩への三代世襲を承認し後押しする立場を明らかにしている。また、ミャンマーの軍事政権に援助と投資をつよめ、事実上の金ヅルになっている。中国が政治的・経済的な影響力を強めながら、勢力圏に取り込んだ周辺国の民主化を阻む役割を果たしている。
タイで拉致問題に取り組む海老原さんの25日付ARNKA(アーンカ)メール報(184)は、アセアン諸国が北朝鮮の人権非難決議に一カ国も賛成しなかった事実を伝えている。この後ろに中国の影響力があるのは明らかだ。
今年もアセアン諸国の賛成はなし -国連第3委員会北朝鮮人権非難決議 
 2010年11月18日に採決された国連第3委員会北朝鮮人権非難決議は、各報道の通り、過去最大の賛成国(103ヶ国)を集め採択されました。
 内訳は以下の通りです。
  賛成103ヶ国 反対18ヶ国  棄権49ヶ国 欠席11ヶ国
 このうち東南アジアの「アセアン諸国」(全10ヶ国)の対応を見ると、今年も「賛成」は1ヶ国もありませんでした。昨年との主な異なりは、昨年「反対」のインドネシアが、今年は「棄権」に転じた点です。
 その結果、アセアン諸国からの「反対」は、昨年の「4ヶ国」から1ヶ国減って「3ヶ国」となり、「反対票の票田」としての傾向は若干弱まりましたが、「賛成」に転じた国はありませんでした。
 アセアン諸国(全10ヶ国)の対応
  賛成 なし
  反対 3ヶ国(ベトナム、マレーシア、ミャンマー
  棄権 7ヶ国(タイ、ラオスシンガポールブルネイ、フィリピン、カンボジアインドネシア
  欠席 0ヶ国
※「アジア大洋州」からの「反対」は以下の通りで、同地域からの反対票は、中国・北朝鮮+アセアン3ヶ国で構成されている。
  中国・北朝鮮・マレーシア・ミャンマーベトナム
 決議案提出を毎年主導して来た日本に取っては、今年もアセアン諸国の対応を大きく動かすことは出来なかったと言えます。北朝鮮人権決議は、第3委員会決議に続き、近く国連総会でも採決されます》
「アジアは中国におまかせ」ではなく、中国自体をどう動かすかを考えなくては。