サンデーフロントライン緊急特集放送

takase222010-09-12

9日(木)の夜、常岡さんのお母さんに中華料理をご馳走になった。(写真はテーブルの常岡さん)
常岡さんの前に運ばれてくる料理からは、豚肉が除いてある。お母さんがあらかじめレストランに注文しておいたそうだ。彼はイスラム教徒なのである。
2000年2月にチェチェン人の友人とともにモスクワのモスクに行って改宗したそうだ。彼がイスラム教徒になったのは、イスラム圏での取材に利用しようという便宜主義的な動機ではない。90年代はじめからイスラムに接する機会があり、そこから何年も勉強し、考えたあげく出した結論だったという。常岡さんによれば、イスラム教は、本来、人権思想に近い民主的な宗教だという。ただ、20年近くイスラム社会を取材した結論は、イスラムの教えは素晴らしいが、「イスラム教徒は世界最悪」だそうである。
その中華宴席で、久保田弘信さんが「常岡さんがアフガンにいた同時期に、僕の目の前でISAF国際治安支援部隊)の車列にロケット砲が撃ち込まれ、それを撮影したんです」と言う。じゃあ、12日放送のテレ朝「サンデーフロントライン」の特集にぜひその映像を紹介し、久保田さんのインタビューも入れ込みたいと思い、番組に提案するとOKが出た。
きょう予定どおり、常岡さん拉致事件の緊急特集を放送した。
久保田さんがHPで宣伝してくれた。
《9月12日テレビ朝日 サンデーフロントライン
緊急特集 犯人は"政権与党"?!アフガン日本人解放の深層
このニュースは間違いなく波紋を生む。
今までラジオやネット上で伝わっていた常岡さんを誘拐したグループが政権与党につながっているという情報がテレビから流れる。》
http://kubotahironobu.blog53.fc2.com/
6日のこのブログのタイトルは「誘拐犯は政権与党だった!」だが、番組は「犯人は"政権与党"?!」にした。
誘拐犯の「軍閥ラティブはカルザイの顧問サバアウン大臣の、ヒズビ・イスラミ内の部下に当た」る(常岡さんのツイッター)のだが、サバアウン氏自身は関知していないだろうと常岡さんは言う。ラティブらが統制を外れて暴走した事件だと思われるので“政権与党”とカッコつきにした上で「?」をつけたのだった。
取材から見えてきたのは、カルザイ政権の腐敗と基盤の弱さ、そしてタリバンをはじめとする反政府勢力の伸張だった。
アメリカに勝ち目がないことは、ますます明らかになっている。アメリカ世論はアフガンへの関与に背を向けており、関心は経済危機に集中している。来年7月に撤退を開始するとオバマは公約している。
いまアメリカがやっているのは撤退するための「出口戦略」だ。
オバマが大統領に就任したとき、アフガンには3万3千人の米兵が駐留していた。増派によって、いまやその数は9万6千と3倍にもなった。40カ国が参加するISAF国際治安支援部隊)全体で14万人超。
外国軍を増やして、いまよりも形だけでも「ましな」状況にした上で、撤退するというのだ。
米軍撤退をはっきりさせた以上、アメリカ(=国際社会)の傀儡であるカルザイ政権はいっそう求心力を失った。撤退したら政権自体がもたないだろう。
かつてのベトナム戦争の末期と似ているとブログで何度も書いたが、その見立ては間違っていないと確信した。
では、日本はどうするのか?