ウラン残土がレンガに2

緑のウラン

独立行政法人原子力研究開発機構の人形峠環境技術センターでは、ウラン坑道を見学できる。「夜次(よつぎ)南2号坑」で、中にたまったラドンガスを換気してから中に入る。
坑道の両脇、闇の中にぼーっと緑の光が見える。ウラン鉱床である。幻想的で美しい。ウランは紫外線にあたると緑に光る性質を利用し、見学者用にブラックライトをあてているのだ。私のあまり性能のよくないカメラでもなんとか写った。(写真)
さて、方面(かたも)の残土である。
問題になった残土は、計3000立方メートル。うち290立方メートルは放射線レベルが高く、「準鉱石」として米国に送られた。ウランが抽出されたあと米国で処理されたという。
残りの約2700立方?はどうするか。撤去が遅れ巨額の制裁金が加算され、国も機構も追い詰められていた。そこに、残土をレンガにするという奇策が出た。案を出したのは、当時の文部科学大臣小坂憲次氏。これが鶴の一声でたちまちそれに決まったという。
結局、残土が撤去されたのは06年11月。残土は、岡山県が搬入を拒否するなか、岡山県側にある人形峠センターには搬入できない。そこで、センターすぐそばの鳥取県側の土地に残土を運び込み、レンガ加工場を建てた。
4月末、この加工場に入った。
レンガの工法は焼くのを含めいろいろあるそうだが、ここでは「セメント固化方式」を採っている。まず、はじめは残土の「ブレンド」作業からはじまる。放射線レベルの高い部分の土は、低い土とブレンドして均一化する。これにセメントを混ぜてレンガに成型される。ブレンドの結果、レンガから出る放射線が0.22マイクロシーベルトになるよう調整されている。
去年4月から一個90円で頒布が始まった。この価格は平均かやや高めくらい。ただし、このレンガ製造のために新たに加工場を建設し、それは来年半ばには製造が終われば用済みになる。20年近い撤去騒動の過程でかかった費用は、制裁金はじめ莫大な額になる。原子力機構は、計算をしていないというが、とんでもないコストがかかっているはずだ。
すでに64万個が全国各地で使用されているという。多くは原子力機構の関連施設に引き取られて行ったが、21万個は一般に売られたという。
原子力機構は、室内で花壇などに使っても大丈夫という。
気になるのは安全性である。
(つづく)