こないだ山形に帰ったときのスナップから、最上川にたなびく鯉のぼり。
左手の土手には満開の桜である。
ここ数年だろうか、「幸福」という言葉を頻繁に聞くようになった。
3年ほど前、ブータンが採用しているGNH(Gross National Happiness「国民総幸福度」)という考え方が一躍注目され、ちょっとしたブームになった。ブータンでは国民の95%が「しあわせ」だと思っているという。
モノやカネじゃないよ、心の豊かさが大事なんだよね・・・という感じで「幸福」が見直されてきたように思う。
日本経済が斜陽になり、社会全体が閉塞感に覆われているように感じれば、がむしゃらに猛進したり、明日に向かってジャンプ!という気にならないのも分かる。若者は、身の丈にあった、そこそこの暮らしを志向しているともいう。とにかく今は、「成功」より「幸福」なのだ。
そこで、政治も「幸福」に焦点を合わせてきた。
政府は、12月の「新成長戦略」で数値で経済成長率や量的拡大のみを追い求める従来型の成長戦略とは一線を画し、国民の「幸福度」(well-being)を重視するとぶち上げた。そして、「幸福度」を表す新たな指標を開発し、その向上をめざすという。
幸福の「指標」を作り、政治の基準にしようというのだ。
幸福の「指標」で国際的に知られているのは、国連開発計画(UNDP)の「人間開発指数」(HDI)だ。この指標にもとづく去年10月のランキング、2009年版『人間開発報告』では、1位はノルウェー。
北欧などが上位を占め、日本は10位。
さて、あの幸せの国、ブータンは・・・と見ると、これが182か国中132位。
ここで使っている指標、「人間開発指数」(HDI)は、平均寿命、識字率、就学率、1人当たりの国内総生産(GDP)などに、貧困指数や男女平等の指標などをまとめたものだ。世界一の長寿国、日本は平均寿命でかなり加点される。つまり、数字で表せる客観的な評価を人々の幸福度の指標としているのである。
さらに別の幸福度ランキングに、「地球幸福度指数」Happy Planet Indexというのもある。
英国のシンクタンクと環境団体「地球の友」(Friends of the Earth)が、国民の平均寿命や、生活への満足度、生活空間およびエネルギー消耗などを独自の調査でまとめたものだ。2009年版で、対象143カ国の中で、第一位に輝いたのは太平洋のコスタリカ。
日本75位、中国20位、米国114位という結果。2006年番ではバヌアツがトップだった。http://www.happyplanetindex.org/public-data/files/happy-planet-index-2-0.pdf
我々はどんな「幸福」を目指していけばよいのか?(つづく)