ムラサキハナナ

takase222010-04-09

駅に歩いていたらある家の裏庭に紫の花がたくさん咲いている。
花を摘んでいるおばあさんがいたので、「ムラサキハナナですか?」と声をかけた。おばあさん、何本か手に持って私のところにやってきて「大根ですよ」という。え?ダイコンって白いんじゃないの、どうみてもムラサキハナナなんだけど・・。きっとこの花を「花ダイコン」と別の名前で呼んでいるんだな。
今の季節、この花をどこでも見かける。写真のように線路沿いにもよく生えている。
大門高子『むらさき花だいこん』という本によると、この花が広まったのには戦争が関係しているという。
日中戦争のころ薬学者で陸軍衛生材料廠の廠長だった山口誠太郎さんが、南京から花の種を持ち帰り、「紫金草(しきんそう)」と名付け広めてきたそうです。誠太郎さん亡き後は、ご子息の裕さんが出身地である茨城県石岡の人たちと「平和の花だいこんの会」という会を作り、百数十万袋もの種を配ったといいます》
花にもそれぞれ謂れがあるものだ。
先週、下の娘の高校の入学式にも仕事で行けなかった。これで卒業式二つと入学式二つ、合わせて四つのイベント全部欠席となってブーイングを受けている。
それにしても、こないだまで赤ちゃんだと思っていたら、もう年頃になっている。ものすごい速さで時間が過ぎるように感じる。
高校時代、世界史のS先生が、ときどき真面目な顔でこういうのだった。
「諸君、私たちは、刻一刻と死に向かって驀進しているのであります」。
当時は、バカなこと言って、と笑うだけだったが、このごろ、たしかにそうだなあとこの言葉を思い出す。老いを感じるようになったせいだろう。