郵便局は非正規職員だらけ

元大蔵事務次官日本郵政の新社長に就任するなど、どたばたが続いた郵政改革だが、法案が最終調整段階に入ったようだ。
この間、亀井静香郵政・金融担当大臣が、日本郵政グループの非正規社員をすべて正規社員にするとぶち上げて話題を呼んでいる。
亀井氏のことだから、どこまで本気にしていいかわからないが、07年に民営化で分社化された三事業(郵便・貯金・簡保)をどう組み直すかという「仕組み」ばかりが論じられるなか、労働現場の問題が議論されることは意味がある。
日本郵政の労働現場はいま、しめつけで非常に過酷な状況になっているという。非正規化がどんどん進み、日本郵政で働く44万人弱のうち47%の約20万4千人が非正規。郵便事業会社をとると、職員約25万1900人のうち15万3千人と、61%が非正規職員だという。
年賀状の配達に、学生のバイトを雇っているのは良く知られているが、大量の非正規職員が恒常的に働いているのだ。
民間企業の非正規率が3分の1で大問題になっているいま、6割とは尋常ではない数字だ。
これは、雑誌『世界』の3月号の「郵便局が変わってしまった〜利益至上主義にあえぐ現場労働者」というルポで知った。書いたのは、2年以上にわたって《官製ワーキング・プア》を取材してきた、友人のジャーナリスト、樫田秀樹さんだ。
樫田さんは、郵便局の現場には「ノルマと懲罰主義、非正規職員への冷遇」を告発する声が満ちていると言う。
例えば、年賀ハガキは正職員が1万枚、非正規が2千枚ほどの販売ノルマを課せられる。ノルマをやらないと処罰されるので、自腹を切って金券ショップに引き取ってもらう。これは現場で「自爆営業」と呼ばれているという。
もっと深刻なのは、人員削減、無理なノルマによるサービス残業や深夜勤務で、郵便バイクの事故が多発しているということだ。バイクに積む郵便物は法定の30キロを超え、スピード違反が常態化しているという。各地で死亡事故があいついでいるとも。
せっかく、日本郵政の将来について、根本からの見直しをするのであれば、そこで働く人のことも考えていきたい。郵便局は我々にとって、最も身近な公的機関なのだから。