先日、ある新聞に出ていた読者の川柳である。
「エコな家電製品に買い換えよというのは、まだまだ使えるものを捨てろということですね。新たな製品を作るにはエネルギーが消費される。捨てられたものは廃棄物になる。これって大きな流れに逆行しているでしょう・・・」
熱心に温暖化問題に取り組んでいる友人は、日本のいわゆるエコポイント政策をこう嘆いた。
むしろ、今ある家電製品を大事に長く使い続けることを奨励し、節電効果などの新技術の部品交換に補助を出すべきではないだろうか。
流れに逆行する政策といえば、高速道路の無料化がそうだ。
本来は、公共交通機関にテコ入れしマイカーを抑制しなければならないのに・・・。
温暖化対策にマイナスだというだけでなく、この政策は地方を直撃するだろう。田舎はすでに、多くの鉄道路線、バス路線が赤字で廃止または間引きされて不便になっている。私は田舎の出身なので、公共交通機関の便と地域の活気の密接な相関関係が体感として分かる。
マイカーを持たず、車を運転できない高齢者はどうすればいいのか。この政策は各地で進む地方活性化の努力を帳消しにしてしまうかもしれない。
朝日新聞12日付夕刊「窓」に「高速無料化のカナリア」という文章が載った。
異状を知らせる「炭鉱のカナリア」になぞらえて、高速道路無料化の影響を評価するカナリア役はJR四国だと論じている。JRの中で売り上げは最小、民営化後の20年余りで人員を4割削減したが・・
《最近では4日に一度の列車洗浄を週一回に減らし、列車の室内灯や本社のエレベーターをできるだけ使わない。涙ぐましい節約努力も、ローカル線を守るためだ。そうやって生み出したコスト削減効果は年間1千万円。だが、それも昨春の高速道路の「休日上限1千円」で乗客が激減し、簡単に吹き飛んでしまった》
新興国が次々に高速鉄道導入を打ち出し、欧州では路面電車が復活している。アメリカも先月、高速鉄道網整備を発表した。鉄道に見直しの光が当たっている世界の潮流に、日本の政策を引き比べてみると、「ずれている」としかいいようがない。
政権への支持がどんどん減っている理由は、リーダーたちの「お金」の問題だけではないと、民主党の政治家は分かっているのだろうか。