大晦日にきれいな月が

年末になると、もう一年が過ぎたのか、と信じられない思いがする。
歳をとるほど時間の進み具合が早くなると言う。まさに実感である。
私は『十年日記』をつけているが、パラパラめくっていると、人生は意外に短いと思えてくる。
日本人の男性の平均寿命を約80歳として、今の自分はどのへんにいるのか。
人生を一日(24時間)とすると、40歳で正午。私はもう午後5時くらいになっている。中学校なら下校時刻、公務員は退社する時刻。あたりは暗くなって、家路につこうというころだ。
人生が一年ならば、折り返し点は6月末で、私は9月ごろか。9月なんて、ついこないだじゃないか。年末まであっという間である。
残り時間が短いことを自覚すると、こうしちゃおれないと、気合が入ってくる。時間を浪費したくない。一日一日を大事に、意味あるように過ごしたいと思う。
外に出ると、冴えわたった夜空に満月が美しい。見ている私の心も澄んでくるような気がする。静かな大晦日を迎えられたことに感謝の念が湧いてきた。
あんまり月がきれいだったので、朝方4時ごろ、もう一度外に出て空を見上げたら、左下が欠けている。後で知ったのだが、月食だった。
《1月1日未明、全国で部分月食が起き、東京都心など天候が良かった地域で観測された。食の最大は午前4時22分の8%で、ほぼ西の夜空に光る満月の左下が少し欠け、周囲が薄暗く見えた。元日に月食が起きたのは、日本では史上初》(時事)
以前見た記憶がないから、自分にとって初めての月食だったと思う。縁起がいいのか、悪いのか知らないが、印象深い元旦の月だった。