これは10日、横田夫妻の講演会の日に撮った写真だ。駅の改札でお別れのとき、娘たちにつられて早紀江さんもピース。思わず笑ってしまう「ベスト・ショット」だった。
さて、拉致問題解決を訴える意見広告が、ついにフランスの新聞『ル・モンド』紙19日付けに載った。http://jinken.asia/
これで、4月の『ニューヨークタイムズ』、6月の韓国三大紙(朝鮮日報、東亜日報、中央日報)につづく意見広告のシリーズが終結した。この問題への関心が世界に広がっていき、よい結果に結びつくよう祈りたい。
応援していただいた皆さん、ほんとうにありがとうございました。
きょう午後、ロシアのジャーナリストに拉致問題についてレクチャーすることを頼まれた。拉致問題を世界に知ってもらうにはいい機会なので、喜んで引き受けた。この人はある雑誌の編集長で、非常に影響力のあるジャーナリストだそうだ。
彼によれば、ロシア人は北朝鮮による拉致問題をまったく知らないという。ロシアは中国とともに、北朝鮮に対しては特殊な関係を持つ国だということもあり、力が入って1時間と要請されたところを2時間たっぷり熱く語った。
「ソ連邦が解体してはじめて、スターリニズムの粛清犠牲者のリストはじめ弾圧の全貌が明らかになった。それと同じく、拉致問題の解決には北朝鮮の体制変更が必要だと思う・・・」
ロシア人は、さすがに、こういう説明には理解が早い。北朝鮮の政治犯収容所の話をすると、頷きながら「ソ連時代の《ラーゲリ》のようなところですね」というあいづちを入れてくる。
「ただ、いつになるか分らない全面解決までの間、並行して、可能なかぎり身柄を取り返す努力もすべきだと思う」
と私がいうと、彼は、「かつて西ドイツが東ドイツに対してやったような、お金による身柄引き渡しはできないのですか」と聞いてきた。
これは、いわゆる「政治犯の買い取り」と言われるもので、63年から東欧体制が崩壊した89年までの間に、西ドイツは、3万3755人の政治犯や離散家族など合わせて25万人を35億マルクを支払って東から引き取った。
私は拉致被害者の「買い取り」が可能なら試みるべきだと思う。しかし、北朝鮮が日本から拉致してきた人のリストを出してきて、一人10万ドルなどと取り引きを持ちかけてくるならともかく、「拉致問題は解決済みで、生存している被害者は一人もいない」と言い張るのだから、「買い取り」たくともできない。
私は、「実はもう一つの《隠された拉致問題》がある」、と前置きして、59年からの「帰国事業」を説明した。
総連のネットワークを使って、「地上の楽園」の虚偽宣伝を強力に繰り広げ、9万3千人を騙して移住させた。日本人妻には、3年経てば自由往来できるなどのカラ約束をした。北朝鮮に渡って以降、自由なコミュニケーションも許されず、中には消息を絶ったものも数多い。日本に逃げてきた「帰国者」の中には、騙されたとして、総連を訴えている人もいる。http://hrnk.trycomp.net/mamoru6.php
つまり、この「帰国事業」は形を変えた「拉致」と見ることもできると言うと、彼は興味深そうにメモを取っていた。
今年は「帰国事業」半世紀だ。この犠牲者にももっと光を当てたいものである。