拉致被害者家族会はきょう、首相との面会のため、各地からぞくぞくと上京した。鳩山首相、政権発足早々に家族会と会うことで、やる気をみせたのだろう。
羽田空港に着いた家族会メンバーの一人を浜松町で出迎え、オフィスで一緒に昼の弁当を買ってきて食べた。「民主党はしがらみがないからやってくれるかもしれない」と期待していた。首相との面会に先立ち、中井拉致問題担当相との面会があって、そこまでは私も付き添った。飯塚さんが早期解決の要望をして中井大臣らが神妙な面持ちで聞いていた。(写真)
家族会が結成されたのが97年春である。お顔を見ていると、みなさんお年を取られたなあとつくづく思う。主な家族会メンバーがほとんど顔を揃えたが、横田滋さんは欠席だった。病気ではないと聞いてほっとしたが、多くの方々が老齢で心身ともに疲弊しており、もう待てないというお気持ちだろう。
《拉致被害者家族会の飯塚繁雄代表(71)らは29日、鳩山由紀夫首相と官邸で初めて面会した。鳩山首相は「被害者や家族がどんな気持ちで一日一日過ごしているか察するに余りある」とした上で「他国に依存していて解決できる問題ではない。新政権として積極的に取り組む」と述べた。
約40分の面会後、飯塚代表は「たくさんの問題がある中、日本の重要課題として拉致に(国内外で)言及してもらい非常に心強い。全く進展がなかったが、民主党が政権を取り、今までにない取り組みで必ず解決するという意気込みを感じた」と話した。
平野博文官房長官によると、鳩山首相は面会で、拉致問題を「わが国の主権の侵害で、国民の生活と安全にかかわる重大な人権侵害」とした上で、中井洽拉致問題担当相を中心に政府全体で取り組む態勢を早急に整える方針を示した。
飯塚代表らによると、鳩山首相は面会の際、飯塚代表の妹で拉致被害者の田口八重子さん=失跡当時(22)=から日本語を学んだ金賢姫元工作員(47)の日本招へいについて、来月9日の訪韓時に、李明博大統領に持ち掛けることを検討していると述べたという》(時事)
後継問題やオバマ政権の動向などに焦点があたり、北朝鮮に関する言説がどんどん拡散している。このなかで、民主党には、北朝鮮にどう対応していいのかという基本的な戦略を立てることが求められる。
最近、マスコミなどでは、「圧力より対話」でないと拉致問題は解決できないという論調が目立つ。私も(対話で解決できないと思うけれども)対話はやるべきだと思う。ただ、対話が実現しないのは日本のせいではない。日本政府は対話を求めているのに対し、北朝鮮の側がまったく応じていないのだ。私は、これまでの政府=自民党が拉致問題を「利用」はしたが、熱心に取り組むことがなかったことに憤っているけれども、対話が成り立たない原因を日本政府にあるとするのは筋違いだと思う。
雑誌『世界』に日米韓の知識人の声明が載っている。北朝鮮が核実験を敢行し暴れるのは、世界が圧力をかけたからだ、実りある対話のためにはまず制裁を解除せよという趣旨だ。この人たちは、ミャンマーに対しては決してこうは言わないはずだ。
日記ではこれから、こうしたいわゆる「リベラル」知識人について論評を加えていきた