近くの公園を通りかかったら、白い花の群生が眼に入った。
見ると花弁がとても複雑で繊細な形をしている。「シャガ」という花で、シナ大陸から古い時代に渡ってきたという。
学名を知って驚いた。Iris japonica つまり「日本のアヤメ」というのだ。ネットを見ると、「シャガは三倍体のため種子が発生しない。このことから日本に存在する全てのシャガは同一の遺伝子を持ち、またその分布の広がりは人為的に行われたと考えることができる」とある。http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%91%97%E8%8E%AA
わが祖先が列島各地に運んで広げたわけである。動物でいえば「家畜」のような、ヒトが手塩にかけてきた花だと思うといとおしい。
ところで、最近、政治家のことばが気になることが多い。
その一つが「率直におわびしたい」だ。
鳩山民主党幹事長は、小沢一郎代表の公設第一秘書が政治資金規正法違反容疑で逮捕されたことについて、「多大なご心配とご迷惑をお掛けしていることを率直におわびしたい」と述べた・・・
河村内閣官房長官は、4日の土曜に政府がテポドン2発射の誤報を流したことについて「国民の皆さんにご心配をおかけしたことは、率直におわびしたい」と陳謝した・・・
悪さをした子どもが「ぼく、素直にあやまります」なんていったらおかしいだろう。
本当は謝りたくないんだけど、自分は性格が良く率直な人間なので謝罪してるんだよ、だからこれ以上責めないでね・・・とでも言いたげだ。
発言者の心象をあえて表現するというのはよくあることで、私もよく、
「正直に申しあげて、これ、トントンの見積もりなんです」
「はっきり言って、これまでの半分の日数で終わらせてほしいんだ」
などとこっちの都合のいいように話を持っていこうとする。
要するに、これはセールストークなのである。
だから相手の立場を慮るべき謝罪という場で「率直に」などと言うのは不適切に聞えるのではないか。
若い人たちが使う「ぶっちゃけ」というのもこれだろう。
「おれは、いつも掛け値なしのホンネでしゃべっているんだ、ヨロシク」という感じだろうか。
政治家の言葉が国民に届かないとはよく言われるが、話の中身はもちろん、言葉の選び方にも問題があるのではないだろうか。