ワシントンと鎮海の桜

takase222009-03-30

先週は取材でワシントンDCに行っていた。
ホワイトハウスの回りに白い花がたくさん咲いていた。木蓮だった。町中で満開だ。
でもワシントンといえば桜。「ポトマック川の桜が咲きました」という特派員リポートは昔からおなじみだが、ちらほら咲き始めていた。写真は議事堂前。まだ、五分咲きくらいなのだが、桜の下を通る人が見上げて携帯電話で写真を撮っていた。
この写真を撮ったのは24日で、桜祭りは3月28日から。パレードは4月4日だという。
去年の今ごろは、韓国に行って、桜が多いのに驚いた。http://d.hatena.ne.jp/takase22/20080406
私は行ったことがないが、港町、鎮海(チネ)の桜は見ものだそうだ。吉野山の5万本に対して、30万本以上の桜の木があるという。こちらの桜祭りは3月27日から。
日本の象徴である桜がどうして他国に植樹されるのかを調べていたら、ワシントン、鎮海という二つの世界的に有名な桜の名所が、ともに日露戦争に関係しているのを知った。
ワシントンの桜の由来について、「ポトマック公園の桜は明治時代の終わり頃にアメリカのタフト大統領夫人、ヘレン・タフトさん達の要望があり、当時の尾崎行雄東京市長がプレゼントしたものです。」「尾崎東京市長は、日本から桜を贈ることは、日露戦争終結のため1905年のポーツマス条約の仲介をしてくれた米国への謝意を表し、日本とアメリカの友情に願ってもないチャンスだと考えさっそく準備にかかりました。」とあるホームページに書いてあった。http://aranishi.hobby-web.net/3web_ara/sakura.htm#chapter1
一方、鎮海は日露戦争で戦略的に重要とみなし日本が街を造り始めたところである。植民地時代には軍港となり、日本が10万本ともいわれるたくさんの桜を植えたという。
戦後、桜は反日の波のなか、多くが切り倒された。桜が再び植樹されるようになったのが60年代になってからで、これには在日韓国人が随分尽力したという。そして、いまでは世界に名高い桜の名所にまでなっている。
日本の歴史の分岐点に、桜は二つの土地に、それぞれ違った意味を背負って、植樹されていったというわけである。
今、両方の町で、桜祭りが盛大に開かれている。