歌舞伎町案内人の店にて

takase222009-02-14

きのう会社の女性2人からチョコレートをもらった。
「バレンタインデーのチョコなんてばかばかしい」と言ってはいても、いざ自分がもらうとうれしいものである。以前はこういうのを家に持って帰ると、娘に「愛人がいるの?」と質問ぜめにあったが、今は自分のチョコレートのことで頭がいっぱいなので無視される。
このところとても暖かい。この冬ほとんど風邪を患わなかったのに、きょう午前、ある労働組合の集会に取材に行ったが、室内で厚着して汗をかき、簡単に風邪をひいてしまった。風邪は春先に注意しろというのは本当だ。
夕方、頭が痛かったのだが薬で抑えて新宿へ。
ずっと前から会いたかったある在日朝鮮人に、友人が引き合わせてくれることになったからだ。酒が入って、彼の中高時代にあたる60年代の話になった。
「よく朝鮮学校のバッジを日本人の友達に売って小遣い稼ぎをしたもんだ。バッジをつけていると、ケンカをふっかけられないというので人気だった。」
「炊飯器を買いに、おふくろにデパートに連れられて行った。そしたらおふくろが値切るんで恥ずかしくてたまらなかった。結局、3時間ねばって負けさせたのには驚いた。」
笑い話の続きというふうな感じで、彼は親が工作員だったという話をした。
「夜、親の部屋を通りかかるとラジオの音がする。部屋に入ったら、おふくろがラジオを聴きながら懸命に数字を書き取っているんだ。おやじはそばで酔っ払ってグーグー寝ている。おふくろが代わりに乱数放送を記録して内助の功をやっていたわけだ」。
秘密工作というものは、映画の「007」みたいな活劇風の日々ではなく、カジュアルな日常だったという話には真に迫るものがある。
その場には、もう一人在日朝鮮人がいた。最近まで総連のバリバリだった若い人だが、この先輩の話を「信じられない」という顔で聞いていた。同じ在日といっても世代間のギャップは非常に大きいようだ。
飲んでいたのは湖南料理の店「湖南菜館」。オーナーが名刺を持ってテーブルに挨拶にきた。「歌舞伎町案内人」として有名な李小牧(リシャオム)だ。http://www.leexiaomu.com/
「案内人」実物と初めて対面。あたりの柔らかい優男だ。たいてい夜8時頃に店に顔を出すという。著名人の店は高くて不味いなどと言うが、ここは味も料金も満足だった。
特に「特製よだれ鶏」という辛いソースをからめた蒸し鶏は実に美味かった。酒もすすんで、風邪で早く帰ろうと思っていたのに終電になってしまった。