グリーンは経済危機対策

2日、NHK教育「未来への提言スペシャル:環境学者レスター・ブラウン」を観た。この番組、大好きな藤原紀香がリポーターなので、ぜひ観ようと思っていた。紀香が、環境問題の大御所、レスター・ブラウンに物怖じしない態度で質問していて、いつもながらあっぱれだった。
ブラウンは、世界が未曾有の経済危機にある今こそ、千載一遇の大チャンスだと言った。
《温暖化を食い止める方向》と、《雇用を促進する方向》が一致しているというのだ。
いまや、次の成長分野は自然エネルギーで、世界での自然エネルギーへの投資は、04年が3.3兆円、05年が5.8兆円、06年が9.2兆円、07年が14.8兆円と前年の1.6倍のスピードで増加している。今後経済的に最も有望なのは、エネルギー分野の技術開発で、これが新たな職場を作ることにも貢献するという。同じ投資額なら、原発と比べて風力発電の方が4倍の雇用を生み出すとも語っていた。「グリーン」で経済危機を脱していこうというわけである。これは経済構造を再構成する非常に大きな転換を意味するが、危機の今ならやりやすいというのだ。
きょう4日の朝日新聞の社説は「温暖化防止 『緑の日本』担える政治を」と題して、「太陽光や風力のように二酸化炭素を出さない再生可能エネルギーの利用を広げ、それを新たな成長の糧にする『グリーン経済』への転換」を訴えていた。政府の及び腰を叱り、「CO2を減らしつつ新たな雇用をつくる」、「温暖化防止と景気回復を同時にねらう」発想を説いている。
先月16日の日経の社説と同一の方向である。http://d.hatena.ne.jp/takase22/20081229
温暖化問題を倫理の話ではなく、経済成長=雇用の問題ととらえる見方が一挙に広まるかもしれない。世の中の変化は、しばしば驚くほど急激に達成されるものだが、何か起りそうな気配を感じる。