北朝鮮はそんなにすごいのか4

北朝鮮は毎年食糧が足りず、国際援助をあおいでいる。
これは往々にして「自然災害」のためと報じられてきた。300万人が餓死したとされる90年代後半の飢餓も「自然災害」が原因だったと解説される。しかし、これは自然が原因ではなく、政治が悪いから起きた人災なのだ。
中朝国境の川沿いの道を車で走る映像を見ると、どちらが北朝鮮かすぐに分る。北朝鮮側は禿山で木が全くはえていない。保水力がないから洪水が起きるのは当然なのだ。
北朝鮮内部からの通信を掲載する『リムジンガン』(創刊号)に石丸次郎氏が「なぜ北朝鮮だけで水害被害が起こるのか」という文章を載せている。
《大雨は北朝鮮にだけ降るわけではない。北朝鮮を地理的に挟んでいる韓国と中国東北部でも、集中豪雨被害は発生しているものの、この十数年、死者が百人を超えるような大きな水害は起こっていない。それでは、なぜ北朝鮮にだけ洪水被害が頻発するのか》と疑問を投げかける。洪水は、国の無策により、エネルギー源として、また無理な開墾のため、山の木が伐採されつづけた結果だと石丸氏は結論づける。
北朝鮮の洪水は人災そのものだ。経済破綻しながらも改革開放に踏み切らず、でたらめなエネルギー政策、農業政策をつづけてきたことに原因がある》。
もともと北朝鮮では主体農法という、全国一律に種まきの時期や密度まで指示する非科学的な政策で農業を破壊した。今も、ジャガイモを植えろ、肉用にウサギを飼え、いやダチョウだと、朝令暮改が毎年繰り返されている。
農業分野だけではない。北朝鮮の政策は、金融、流通、鉱工業から医療、教育とどの分野を取っても目を当てられないほどひどいものだ。
ここで、専門家ではない素人は素朴な疑問を持つ。
国をめちゃめちゃにして、人民を食えない状態に追い込んできた北朝鮮の政治手腕は、完全に落第点のはずだ。
内政が全然ダメなのに、外交だけは「したたか」で超一流、なんてことが、果たしてありうるのだろうか?
(つづく)