イギリスは不味いのか

takase222008-02-18

イギリスに出張している。香港と見まがいそうな風景だが、ロンドンのチャイナタウンだ。ここで、とても美味い、そして値段も手ごろな点心を食べた。ひどい食事が続いて辟易していたところだったので、感激して写真を撮った。
前日、あるチャイニーズ風の店で昼食をとった。私が注文したスープ麺、箸に引っかかってきたのは煮過ぎてネチャネチャになった麺。スープはぬるくてダシの旨みがない。底の方にごろごろするものがあり、レンゲですくうと、カシューナッツがたくさん出てきて絶句した。
断っておくと、私は決してグルメではなく、どちらかといえば食事は栄養として考える無粋な部類の人間なのだが、それでもひどいと思った。同行した二人の日本人は焼きそばとチャーハンを頼んだが、はっきり「不味い」と断言していた。いずれも見るからにベチョベチョで不味そうだった。
なぜだろうと見回すと、働いているスタッフにチャイニーズが見当たらない。シェフもチャイニーズではないだろう。ただ不思議なのは、これほど不味いのにお客はそこそこ入っていることだ。
いろんな国を旅しているTさんは、「民族によって舌の感覚あるいは味についての素質が違うんじゃないでしょうか」という。Tさんによれば、日本人なら料理が上手でなくとも、厨房で長くアルバイトしていればシェフになれる国がたくさんあるという。美味い不味いの識別が優れているからだそうだ。たしかに、この店、お客にも東洋系は少ない。日本人ならこりごりという味なのに、満足げに食べている。文化の差より味覚の程度差と考えたくなる。
他日食べて美味かったのは、中東系の肉料理。ロンドン在住人口が非常に多いことが本場の味を可能にしているのだろう。ホテルで食べる朝食には3人ともとても満足している。パンやハムなどシンプルなものが美味い。外国人が泊まるからなのか。イギリスにも美味いものはたくさんあるはずだ。
困るのは食事より物価だ。地下鉄の切符が千円近く、4ポンド(約900円)というのには驚いた。ホテル代や食事代も高い。タバコ1箱が税金で1000円超するのはいいことだが、先に書いたあの珍妙なラーメンで2000円近いのは納得できない。
住宅費をどうするかは大きな問題だそうで、今回こちらで知り合った二十台後半の日系企業に勤める日本女性は、郊外の一軒家を12人でシェアしているという。
高い物価など気にせずに、どんどん遊びに来るのはロシア人の金持ちだという。ロシア語を話す若い女性観光客に何度か出くわした。ノービザで来れるのが便利なのだそうだ。世界情勢の様変わりがロンドンに押し寄せている。