フィンランド・ショック2

フィンランド・ショックで、北欧に日本人が関心を持ったのは、とてもいいことだと思う。
というのは、今、日本をはじめ先進国は、大きく、アメリカのような国を目指すか、北欧モデルを追求するかという岐路にあると思うからだ。
アメリカ・モデルは、小さい政府で民活をベースにした競争社会。一方、フィンランドはじめスウェーデンノルウェーデンマークアイスランドの北欧諸国は、高福祉・平等を旨とする社会民主主義の道を歩む。
日本やイギリスはアメリカに追随してきたのだが、すでにアメリカ・モデルの破綻ははっきりしてきた。京都議定書への態度を見れば、環境政策一つ取ってみてもアメリカは明らかに落第だ。将来のないモデルである。
これに比べて北欧の達成はすごい。国際ランキングで見ていこう。
A.男女平等度を計る「ジェンダー・ギャップ指数」(07年)で、1位はスウェーデン、2位はノルウエー、3位はフィンランド、4位アイスランドと北欧が上位を独占。一方、128カ国中アメリカは31位、日本は91位。
B.「国境なき記者団」が毎年発表する「報道の自由度」指数では、1位のノルウエーはじめ北欧はすべて10位以内。ちなみに日本は169カ国中37位、アメリカは48位。
C.今年初めて発表された「世界平和指数」では、軍事的緊張や国内総生産(GDP)に占める軍事費の割合いなどを指数化。日本は121カ国中、堂々5位にランクされ面目を保ったが、これも1位はまたしても北欧のノルウェー。上位はニュージーランドデンマークアイルランドの順で、フィンランドスウェーデンも10位以内といずれもトップグループ。
D.「エコノミスト」が発表する「民主主義」成熟度ランキング(07年版)では、1位スウェーデン、2位アイスランド、3位オランダ、4位ノルウエー、5位デンマーク、6位フィンランド。167カ国中、アメリカは17位、日本は20位。
ちなみに、天皇制反対論者のなかに、王制と民主主義が対立概念だと信じている人がいる。だが、民主主義先進国の北欧で、スウェーデン、ノルウエー、デンマークは王制の国だ。王制の反対は「共和制」であって、民主主義度世界最悪の北朝鮮は「共和制」。
北欧は、いろんな間違った先入見を破壊してくれる。
次回は、最も痛快な北欧の挑戦を見ていく。グローバリズムという大競争時代には、アメリカ式でないと生き残れないという主張を、北欧の実績が完全にひっくり返したのだ。
(続く)