誰が虐殺を見過ごしたのか1

takase222007-12-04

先月から、カンボジア大虐殺の裁判が動き出した。
《旧ポル・ポト政権時代の大量虐殺を裁くカンボジア特別法廷は20日、同法廷設置後初の公開審理を開始した。(略)同法廷はまず、元政治犯収容所長カン・ケク・イウ(65)被告(通称ドッチ、Duch)の(略)審理を開始した。1975年から79年のポル・ポト政権下で、悪名高いトゥール・スレン政治犯収容所の所長だったカン・ケク・イウ被告は、特別法廷で裁かれる元ポル・ポト政権幹部5人のトップを切って7月に特別法廷に拘束された。同被告は、子どもを含む1万6000人の拷問や処刑に関与したとして「人道に対する罪」に問われている。》(AFP20日)
この男は収容所長だから、ポルポト派の組織系統からすれば下っ端なのだが、現場の虐殺責任者として知られた人物で、私たちも彼を取材しようとずいぶん追い回したものだ。
それにしても、ポルポト派の犯罪を裁くのに、30年近くかかったことになる。
NHKニュースのキャスターが、「以前から国際社会が裁判を要求していたが、カンボジア政府が『国民和解』のために慎重になっていて、実施が遅れた」と解説した。事実なのだが、これだけの言及ではまるで、人権を掲げる国際社会に対して、カンボジアの現政権が抵抗している構図だけで理解されてしまう。
実は、国際社会こそが、こぞって人権の旗印を投げ捨て、虐殺集団ポルポト派を支援し延命させてきた暗い過去があるのだ。(写真はポルポト:98年4月死去)
(続く)