拉致被害者キムドンシク牧師

takase222007-11-14

きょうはアメリカ取材最後の日。
日本からの拉致議連・家族会・救う会訪米団の活動を取材した。この訪米団の目的は、北朝鮮テロ支援国家指定を安易に解除しないよう、アメリカにロビー活動することだ。
家族会の飯塚繁雄さん、増元照明さんたち訪米団は朝9時、ワシントン・プラザホテルで金東植(キムドンシク)氏の奥さん、イリノイ州在住の鄭英和さん(チョン・ヨンファさん、59)(写真)と面会した。
金東植氏は韓国人牧師で、中国で脱北者救援を行っていたところ、延吉で北朝鮮工作員に拉致されている。彼のケースは、アメリカの04年制定の「北朝鮮人権法」にも以下のように触れられている。
「2000年1月、中国にいる北朝鮮工作員が金東植牧師を拉致したとされる。牧師はアメリカ永住権を持ち、北朝鮮難民を守る活動をしていた。現在、消息不明である」。
In January 2000, North Korean agents inside China allegedly abducted the Reverend Kim Dong-shik, a United States permanent resident and advocate for North Korean refugees, whose condition and whereabouts remain unknown.
牧師は、最も最近拉致された被害者として韓国で認定されたが、より重要なのは、彼がアメリカの永住権を持ち、子どもは市民権を持っていることだ。このケースは直接アメリカに関係する拉致なのである。だから、「北朝鮮人権法」では北朝鮮の人権侵害の事例として唯一、個人名を挙げて記載されている。
9月25日、イリアナ・ロス-レーティネン議員が、いくつかの条件を解決しない限り北朝鮮への制裁解除をできなくする法案を下院に提出したが、その条件のなかにも「金東植牧師の解放」が入っている。
金牧師のケースは、日本ではあまり知られていないが、アメリカ政府を動かすときには重要な意味を持っている。
奥さんのヨンファさんに聞いたところ、「夫は政治犯収容所に入れられ、劣悪な環境のなかですでに死亡したという情報もあります」と泣いていた。日本の拉致被害者の家族とは同じ境遇なので手を取り合っていきたいと言う。
金牧師は多くの脱北者を救ったが、その中に日本人妻の家族もいるという。新婚旅行先は日本だったそうで、何かと日本と縁のある方である。