李明博「経済大統領になる」

野党ハンナラ党の大統領候補者となった李明博(イミョンバク)とはどんな人物なのか。李氏は、日本に移り住んだ両親の下、1941年に大阪で生まれた。日本の敗戦後に韓国に戻り、極貧の暮らしを経験し、苦学して高校夜間部から高麗大学に進学。日韓条約反対運動を指導して逮捕され半年服役したことがある。65年に現代建設に入るとわずか35歳で社長に抜擢され、高度成長の波に乗って成功神話を築いた。92年国会議員に当選、2002年にはソウル市長に当選した。「CEO(最高経営責任者)型政治家」といわれ、都心の道路を掘り起して「清渓川(チョンゲチョン)」の清流を復活させた。ドラマチックな人生である。コムドーザー(コンピューター付きブルドーザー)と呼ばれる行動力が売り物だ。韓国では政府の経済政策に対する批判が強く、李氏なら経済立て直しをやってくれるはずだとの期待から、地域、年齢層を問わず支持が広がっている。彼の「経済市長から経済大統領になります」というキャッチフレーズは今の韓国民には頼もしく響くらしい。
ライバルの朴クネは、当初から大統領候補者としては不利だと見られてきた。「独裁者の娘」という批判に晒されることに加え、彼女を熱心に応援するのは故朴正煕ファンで、支持に地域的、年齢的な偏りがあるからだ。
李明博が大統領候補になったことで、ハンナラ党勝利の可能性が高くなったのは間違いない。
韓国では誰もが経済に関して大きな不満を口にする。携帯電話や家電の分野でサムスンなど韓国企業が世界を席巻しているのに、本当にそんなにひどい状態なのだろうか。いったいどこが問題なのか。ジン・ネットのスタッフが、経済評論家の池東旭(チドンオク)さんにインタビューした際の答えを要約で紹介しよう。池さんは日本語に流暢で、よくサンプロで紹介させていただいている。「あたしゃね、・・・と見てますね」と、軽妙な語り口で解説してくれる。
《韓国経済は「外華内貧」で、外は華やかで中が貧弱。輸出がすごく伸びているが、日本からの原資材を加工して出してるだけで大して儲かってない。輸出品は半導体、自動車、石油化学など、みな大企業の製品ばかりで、中小企業は全然だめなんです。しかも調子がいいごく一部の大企業の株のほとんどは外国人が持っている。サムスン電子の役員の給料は50億ウォン(日本円で4億円くらい)。なぜかというと役員の半数以上が外国人なんですよ。てめえ達がね、たくさんもらいたいからそうするんですよね。ところが、今ウォン高で、アメリカでは現代の車がトヨタより高くなって、輸出も苦しくなってます。そもそも、左派政権が労組を保護して企業をいじめたために、企業がやる気をなくして、海外に逃げ出したから国内に就職口がなくなった。また、起業するより土地ころがしや株への投資に向ったから不動産や株が高騰した。一方でIMF以降、中産階級が没落した。IMFまで韓国の金融機関の従業員が12万人いたのに、今は6万人ですよ。・・・》
取材したスタッフによれば、いま韓国には就職できない青年があふれているという。