宇宙はひとつ

 隠れ里のような山奥の集落、岐阜県郡上市白鳥町石徹白(いとしろ)。また行ってみたい。朝、宿をチェックアウトするとき、玄関前の花に気づいた。珍しいなと思って、おかみさんに聞くと「こっちでは花魁草(おいらんそう)と呼んでます。夜、花が開くんです」とのこと。いろんな花があるものだ。

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 ついこないだ、仕事人内閣なるものを発足させ、ようやく国会開会かと思ったら、いきなり冒頭解散だという。
 大義ない」言われてつくる大義かな大阪府 遠藤昭)
 次々と看板替えるだけの人 (福岡県 河原公輔)
 閉会中だけ大臣をやりました (埼玉県 山田秀三郎)
 今朝の朝日川柳より
 
 解散のニュースにうんざりしていると、朝のテレビで、日本の科学技術研究はもう「崖っぷち」に来ていると、ニュートリノ振動の発見でノーベル物理学賞(2015年)を受賞した梶田隆章博士が危機感をあらわにしていた。ここ10年、日本の産業競争力の低下には心配していたが、梶田博士は、基礎研究費が大幅に削減されて若い研究者が育たない環境になっているという。
 先日発表された、世界のトップ200大学に日本から入ったのは東京大学京都大学の2校だけ。順位も下げ続けている。
 日本2校(前年2校)、香港5校(5校)、中国7校(4校)、韓国4校(4校)、シンガポール2校(2校)、台湾1校(1校)
 アジアの中でも日本の大学は地盤沈下が目立つ。これは研究費の削減が大きく、博士課程の学生の割合、研究の生産性も低下している。日本の大学の年間収入は半分以上が政府資金で、04〜15年にかけ大学・大学院への政府資金は12%も減少した。また、安倍内閣は応用科学重視を打ち出した結果、基礎研究が危機にあるという。国会の場で、50年、100年先を見た政策論議がなされることを望む。
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 大本(おおもと)での講演の話からだいぶ経ったが、つづき。
 http://d.hatena.ne.jp/takase22/20170909
 環境についての講演を依頼された。普通なら、過去の取材をもとに温暖化や原発事故などをテーマにするところだが、今回は「こころ」について語ることにした。多くの人が環境破壊はよくないことだと思っていても、なぜ破壊が続くのか。それは根本に、自分(たち)が便利ならよい、死んだら終わり、後は野となれ、という「自分(たち)さえよければ」のこころがあるからではないかと思ったからだ。
 講演会では、ビッグバンからの138億年の宇宙史から話をはじめた。目に見えない小さな宇宙がインフレーションからビッグバンによって急膨張し、今の宇宙ができた。小さな風船をいくら大きく膨らましても風船は1個であるように、いくら大きくなってもこの宇宙は一つということになる。次に地球で生命が生まれて40億年たち、生命は現在のように多彩に進化してきた。一番最初の生命体はたった一個の単細胞微生物として生まれてきたのだから、地球上の生命はすべて仲間だ。そして、30万年前にアフリカで生まれた原生人類はアフリカ大陸から地球の陸地全体に広まって生き延びてきた。人類も祖先を共有しているからみな親戚だ。宇宙は一つ、いのちは一つ、人類も一つ。おれだけが良ければいいという「なんとかファースト」という考え方は宇宙の理に反している。「みな一つ」と深く気付けば、祖先から今の自分たちまで生かしてくれた条件である環境を破壊しようなどと考えるはずがない。また、ケンカや戦争など争いごとをしたいと思うはずもない。
 講演が終わると、高齢の男性が近づいてきて、「大本の教えと全く同じです」と握手を求めてきた。大本では、「われよし」(利己主義)のこころを取り換えないといけないと説く。会場には高齢者が多く、講演を分かってもらえたか心配だったが、しっかり請けとめてもらえたようだ。