外来種は悪者なのか?

 この数日、日中は暑いが、夜の月は美しい。
 毎晩、寝る前に夜空を仰ぐことにしている。月光浴ということばがあるが、満月のときなど、月の光が肌に当たるような感しがすることがあるが単なる錯覚なのか。潮の干満に月が大きく関係しているのは知っているが、月光は地球の自然と生物、そして人間にどんな影響を与えているのだろうか。
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 今朝、ふだん政治にさほど関心のない娘が「前川さんに励ましの便りを出したい」という。きのうの学校法人「加計学園」の獣医学部新設をめぐる閉会中審査のニュースを見ての反応。それほど、前川喜平前次官に「正義」を感じたのだろう。
(東京新聞より)

 文字情報と違い、テレビでは、嘘を言っているのがどっちなのか、一目瞭然だ。前川氏は、語った内容以上に、その表情と声の調子で、ああ、この人はほんとのことを話しているのだな、と視聴者を納得させた。
 安倍総理、逃げ回るのはもうやめて、はっきりさせましょう。
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 もう一つの今朝の一面ニュースは、きょうから共謀罪法が施行されること。
 この法律を「テロ等準備罪」法と呼ぶNHKは、夜7時のニュースでMCが、恣意的な運用をしないよう捜査当局が自らを律することが大事ですね、と言っておしまい。「自らを律する」ことで済むなら規則や制度はいらない。だいたい、この法案、肝心の法務大臣自身が内容をまったく理解していないことが国会の審議でバレバレになったのだからお話にならない。金田法務大臣はきょう「処罰範囲は限定的で、恣意的な運用はできない仕組みだ」と会見で語ったが、あなたに言われてもなあ・・
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 ヒアリの上陸が話題になっている。さらに中国やベトナムなどが原産の大型のカミキリムシ、「クビアカツヤカミキリ」が7つの都府県に生息域を広げて桜の古木などを食い荒らしているという。
 先日、ナガミヒナゲシが危険外来植物として駆除に乗り出す自治体が出ていることを紹介した。http://d.hatena.ne.jp/takase22/20170512
外から「侵入」してきたものを危険視することが、移民排斥とどこか重なるように感じてだんだん気になってきた。外来種をどう考えるべきなのか。
 そもそも外来種とは「もともとその地域にいなかったのに、人間の活動によって他の地域から入ってきた生物のこと」で、日本では、明治以降に入ってきたものをさすことが多い。外来種は「悪者」かというと、そんなことはない。稲や麦、イモ類をはじめ農作物、栽培用の花、家畜などのほぼ全部が「外」から列島に入ってきた。ここでは外来種は「良い」ものであり、それぞれの地域の文明を支えてきたのである。
 外来種のウソ、ホンとを科学する』(ケン・トムソン著、築地書館)という本が、面白い指摘をしている。
 著者のトムソンは、まず、「ラクダはどこのものか?」と読者に問う。
 ふつうは北アフリカの「ヒトコブ」かインド、中央アジアの「フタコブ」かどちらかだろうと思う。しかし、ラクダ科は4000万年前、北米で進化したのだという。肩までの高さが3.5mもある種もいたが、8000年前に絶滅。その子孫は南米に渡って、リャマ、アルパカ、ビクーニャなど最も多様な進化をとげた。一部がベーリング海峡を渡ってユーラシア大陸で「ヒトコブ」、「フタコブ」となった。そして、世界で唯一家畜化されていないヒトコブラクダが生息しているのはオーストラリアだという。
 さあ、ラクダはどこのものか?
(つづく)