三連水車の里、朝倉市が豪雨被害

 先週、家の前でカナヘビを見た。ひさしぶりだな。
 東北ではカナチョロと呼ぶ。しっぽがトカゲよりはるかに長い。こないだはガマが出てきたし、縁起がいい。あとは蛇が見たい。
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 昨夜、フジTV「Mr.サンデー」の第3特集「北朝鮮ICBM発射で緊迫か…軍事境界線で見た驚きの実態とは」がOAされた。このため、私は金曜からテレビ局に詰めていた。この特集は、事情で私が韓国のDMZ(軍事境界線)の現地リポートをすることになったもので、年甲斐もなく恥ずかしかった。誰でも入れる観光地なのだが、北朝鮮と対峙する場所での平穏で楽しげな様子は、ミサイル退避訓練をはじめた日本のピリピリした空気とは好対照というのが、けっこうおもしろがられたようだ。
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 福岡県朝倉市が大変なことになっている。九州北部を襲った記録的な豪雨で、福岡県と大分県の死者は計23人となったが、そのうち朝倉市の死者が17人を占める。
 朝倉市の山田堰土地改良区とはご縁があるので心配している。

 2012年に、三連水車などの水車群や山田堰、堀川用水など、18世紀に作られた伝統的な農業水利システムを紹介するDVDを制作し、私もプロデューサーとして訪問したことがある。日本古来の農業技術が干ばつや洪水などの自然災害にきわめて有効に対処できていたことに驚き、先人がこうした水利システムを我々後世の人間に残してくれたことに感謝した。
http://d.hatena.ne.jp/takase22/20140804  http://d.hatena.ne.jp/takase22/20120804
この地では、世界農業遺産登録を目指す運動があり、DVDもお役に立っていればうれしい。http://www.pref.fukuoka.lg.jp/somu/graph-f/2013autumn/11.pdf
 山田堰は、暴れ川だった筑後川との苦闘から生まれた日本唯一の石畳堰で、中村哲医師がこれをモデルにしてアフガンの水利システムを造ったのは有名な話だ。DVD制作時、尊敬する中村哲さんを山田堰の前でインタビューする光栄にあずかった。余計な話だが、中村さんはチェーンスモーカーで、おれもタバコをやめなくていいかな、などと思った。
 いま水車がリバイバルで、観光、小水力発電などの用途で新設されているが、ここのは揚水水車で。コトコトコットンのイメージの動力水車(脱穀したり粉を挽いたりする)とは違って、低い所を流れる水を高い高地に揚げて灌漑するために設けられた。
 NHKの報道では水車はなんとか大丈夫らしい。
 《記録的な豪雨となった福岡県朝倉市では、江戸時代に造られ、国の史跡に指定されている農業用の水車「三連水車」も被害に遭いましたが、本体は流されず、ほぼ原型をとどめた状態で残りました。
 福岡県朝倉市にある、3つの水車が連なる三連水車は、筑後川の水を水田に引くため200年以上前に造られたもので、国の史跡に指定されています。大雨で周辺の川があふれて濁流にのみ込まれ、直径4メートルほどの水車は、およそ3分の1が流木や土砂に埋まりました。しかし本体は流されず、3つの水車が連なる外観は、ほぼ原型をとどめた状態で残りました。》(9日)
 今回の豪雨被害は気候変動の一つの現象だと思うが、伝統の農業水利システムでは被害を防げなかったのかとの疑問が沸いてくる。今回の豪雨被害は、ため池の決壊が大きかったという。そしてそのため池は大正時代に造られたという。どこに問題があったのか。調査を待とう。
 山田堰土地改良区の知り合いからは死者は出ていないが、事務局の一人は、集落全体が水没し、家が床上浸水したという。田植えが終わったばかりの田んぼも心配だ。一日もはやく日常に戻れますように。