2008-01-01から1年間の記事一覧

北朝鮮の偽札は米国製?5

大状況に話がうまく合っているというのは、成功する陰謀論の条件の一つである。 1987年の大韓航空機爆破テロ事件で、これは韓国の安企部の自作自演だという説が広まった。当時の日本の新聞・雑誌を集めたことがあるが、進歩派マスコミはもちろん、「週刊サン…

北朝鮮の偽札は米国製?4

《北朝鮮の偽札「スーパーノート」を作っていたのはCIAだった》 この自作自演説が主要メディアで流れたのは去年はじめのこと。 去年1月8日のドイツの有力紙「フランクフルト・アルゲマイネ・ツァイトゥング」紙に載ったクラウス・ベンダー氏の「スーパー…

北朝鮮の偽札は米国製?3

スーパーノート級の偽札を製造するには、巨額な資金、一定数の優れた人材(技術)と本格的な設備が必要だ。小さな山小屋で数人でこっそりと、というわけにはいかない。かなりの規模のギャング団や宗教組織でも無理だ。 松村喜秀さん(写真)はブログにこう書…

北朝鮮の偽札は米国製?2

《北朝鮮の偽札「スーパーノート」を作っていたのはCIAだった》 このCIA自作自演説を検討する前に、そもそもスーパーノートとは何かを説明しておこう。スーパーノートとは、非常にレベルの高い偽ドル札のことだ。 アメリカで偽札を取り締まるシークレ…

北朝鮮の偽札は米国製?1

田母神前空幕長の日本近現代史に関する論文が、いま問題になっている。 論文そのものを読んではいないが、新聞に報じられたところによると、徹底した謀略・陰謀論でできている。 《蒋介石の国民党には共産党が多数入り込んでおり、国民党はコミンテルンに動…

「ぼけ」と幸せ 6

痴呆は自然な老衰のグラデーションの一つだなどというと、痴呆老人の介護の大変さを分っていないのではとの疑問を持たれるかもしれない。だが、かく言う大井さんは、痴呆老人の臨床経験も豊かで、家族の大変さも知った上で論じている。 痴呆で問題になるのは…

「ぼけ」と幸せ 5

私たちは、「私」という存在を「実体」と考えている。 「実体」とは、「それだけで存在し、変わることのない本性を持ち、いつまでも存在するもの」だ。しかし実は、私という存在は「実体」ではなく、無限の関係のなかに現象しているものだ。「無常」なのであ…

「ぼけ」と幸せ 4

健康や若さは、競争社会では幸せを保証する「能力」とみなされる。 それらが失われ、遠からず死亡する可能性の高いがん患者などが、幸せ度で健康人と変わらないという結果が出るのはなぜか。 研究の結果考え出された二つの心理的しくみを大井さんは紹介して…

「ぼけ」と幸せ 3

20世紀後半、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)という評価指標が登場した。 ある学者の定義によると「自分の生きざまについての満足、生きがいなどの意識をふくむ全般的・主観的幸福度」となり、ここでは「幸せの程度」と考えてよいだろう。 アメリカなど…

「ぼけ」と幸せ 2

私はアルツハイマーの番組制作に関わったこともあり、痴呆には以前から関心を持ってきた。 痴呆については『痴呆の哲学−ぼけるのが怖い人のために』(弘文堂)という、とても面白い本がある。常識を引っくり返し、考えるヒントがちりばめられた本なので、紹…

「ぼけ」と幸せ

ある日、横田早紀江さんと話していて、テレビの話題になった。 「なんだかいつも笑っている番組ばかりですね。世の中、そんなに面白いことばかりなんでしょうか」。 こう言われて、テレビ業界でメシを食っている私は、答える言葉を失った。 民放の夜の時間帯…

筑紫哲也さんの死によせて

筑紫哲也氏が亡くなった。 初めてお会いしたのは、1990年、私がチェルノブイリ原発を取材し、それを「ニュース23」で放送したときだった。「ニュース23」は前年の89年に始まって、ようやく一年たったころだったはずだ。 VTRが終わると、スタジオの筑紫氏…

オバマが勝った

予想通りにオバマが圧勝した。 オバマの勝利スピーチの時は仕事だったので、あとでユーチューブで観た。10分ほどの演説だった。実は私は、彼のスピーチを通して聴いたのはこれが初めてだ。オバマは4年前の民主党大会での名スピーチでデビューした人物だが、…

玉城素さんを偲ぶ会 2

朝鮮戦争勃発直後、国連安保理は北朝鮮弾劾決議を採択するが、そのさい、拒否権を持つソ連がなぜ欠席したのかは私も前から不思議だった。 ウィキペディア「朝鮮戦争」にはこう書いてある。 《6月27日に開催された安保理は、北朝鮮を侵略者と認定、“その行動…

玉城素さんを偲ぶ会

きょう吉祥寺で、玉城素(たまき・もとい)さんを偲ぶ会があった。 玉城さんは在野の研究者で、北朝鮮研究に革命を起こした人と言っていいだろう。http://d.hatena.ne.jp/takase22/20080928 代表作に『北朝鮮破局への道 チュチェ型社会主義の病理』などがあ…

Qちゃん引退で増田明美がコメント

高橋尚子が引退を表明した。 サングラスを投げ捨ててスパートした、シドニー五輪女子マラソンでの、あのかっこいいシーンは今も眼にやきついている。そして「集中してすごく楽しい42キロでした」と言った笑顔も忘れられない。 誰でも何のためらいもなく応援…

COSMOS

娘の通う中学が毎年開く校内合唱コンクールを1時間ほどのぞいた。 各クラスが、学年共通の課題曲と自由曲の2曲を歌い、競い合う。 自由曲によく選ばれるのにCOSMOS(コスモス)という曲があり、私は大好きである。COSMOSとは宇宙という意味だ。遅れて会場に…

社説にみる新自由主義の行き詰まり

このところ、新聞の社説が面白い。 ブッシュ政権の新自由主義政策を批判したポール・クルーグマン氏がノーベル経済学賞を受賞したことに触れて、東京新聞の社説はこう書く。 「米国流の新自由主義経済に追随してきた日本の格差も深刻の度合いを増しています…

金正日体制崩壊を唱える「T・K生」2

池明観氏は、03年3月末に北朝鮮を訪問した。彼の対北朝鮮観を180度転換させたのは、この訪問だった。 以下は日本で開かれたある講演会での発言だ。 《KBSの理事長をしておりましたので、その関係で南北問題と統一問題についての話し合いのために北を訪問し、…

金正日体制崩壊を唱える「T・K生」

40代以降の人なら「T・K生」を知っている人も多いだろう。 73年から88年まで、月刊誌『世界』に「韓国からの通信」が「T・K生」の名前で連載された。韓国の独裁体制を激しく批判し、日本人の韓国イメージに大きな影響を与えた。 その一方で、北朝鮮に…

「赤旗」が金融危機を斬る

アメリカの金融危機が世界中で激しい株価の下落を招き、世界恐慌の不安が募っている。 マスコミに出てくるエコノミストや政治家が、アメリカやヨーロッパの政府が公的資金を投入せよ、金利を下げよ、と声をあげる。だが、知りたいのは、そんな「とりあえず」…

米国にそでにされた日本

北朝鮮のテロ支援国家指定解除について、とんでもない事情が判明した。 ブッシュ大統領が麻生首相に電話してきたのが11日夜11時すぎ。首相は浜松のホテルのラウンジで青年会議所会頭経験者らと懇談中だった。 「首相は懇談を中座、別室へ消えた。大統領の電…

好きな事探す寂しさ

新聞各紙、それぞれ特徴があるが、「朝日」で好きなのは「朝日俳壇」だ。 選者がすごい。「ホトトギス」を継承した日本伝統俳句協会の稲畑汀子氏と、これと真っ向から対立する自由俳句界の大御所、金子兜太氏がいる。当然、選ぶ俳句が全く違う。それがおもし…

あっさりとテロ支援国家指定解除

北朝鮮のテロ支援国家指定が、あっさりと解除された。 中曽根外相は10日夕、ライス米国務長官と電話で話し、「協議後、日本側関係者は、一両日中に米国が指定解除に踏み切ることはないとの見通しを示した」(東京新聞11日)。ところが、翌11日の夜11時にブッ…

感動の素粒子論

私の主な読書時間は通勤列車の中だが、仕事で読まなければならない本が多く、読みたい本がなかなか進まない。 ビッグバンに関する本が3週間経っても読み終わらずにカバンに入っていた。3人のノーベル物理学賞受賞の発表のときは、偶然、クォークに6種類あり…

北朝鮮はそんなにすごいのか6

「北朝鮮は食糧が足りないから援助がほしいはずだ。核は武器として開発しているのではなく、援助がほしいための取り引きのカードなのだ。」 こんなふうに北朝鮮を見ると大きく誤解し、予測を誤る。実は、かなりの専門家がこの誤解にはまっているのではないか…

北朝鮮はそんなにすごいのか5

国がめちゃめちゃになっていることには、さすがに首領様も気がついていた。 とくに経済の失敗については、金日成は非常に気にしていたらしい。金日成は、94年7月の死の直前「経済活動家協議会」を開き、絶望的なエネルギーと農作物、消費物資の不足への対策…

北朝鮮はそんなにすごいのか4

北朝鮮は毎年食糧が足りず、国際援助をあおいでいる。 これは往々にして「自然災害」のためと報じられてきた。300万人が餓死したとされる90年代後半の飢餓も「自然災害」が原因だったと解説される。しかし、これは自然が原因ではなく、政治が悪いから起…

北朝鮮はそんなにすごいのか3

十数年にわたって金正日のお傍につかえた日本人の「料理人」がいる。テレビにバンダナとサングラスで登場する藤本健二氏だ。 彼によれば、重村説では金正日が病に倒れて車椅子になったとされる2000年、将軍様はぴんぴんしていたという。藤本氏がすぐそばで…

北朝鮮はそんなにすごいのか2

1975年、カンボジアがポルポト政権の支配下に置かれた。 権力を握ったポルポト派は、首都プノンペンから住民を農村に強制移住させ、家族を解体し、年齢・性で分けられた労働キャンプで生活させた。旧政府の軍人・警察官・官僚はもとより、医者・教師・エ…