新段階に入る日韓関係

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 オフィスから神田駅に歩いていく途中にある栄屋ミルクホール。建物も古いが「ミルクホール」とは歴史を感じさせる。

 ミルクホールの意味は?
 「牛乳を飲ませ,パンなどを供する簡易な飲食店。明治後期にビヤホールができてから,〈ホール〉という呼称が流行したが,〈ミルクホール〉も日本人がつくった言葉で,東京の学生街から始まったらしい。明治初年に始まる新聞縦覧所の性格をうけつぎ,牛乳を飲む者には新聞・雑誌や官報を無料で閲覧させた。やがてケーキやコーヒー,洋食なども提供するようになり,上下がカステラで中にようかんが入った〈シベリヤ〉という菓子はミルクホール独特のものであった。」(コトバンク
 ミルクホールは和製英語なんだ。創業昭和20年というから74年前か。よくこの前を通るのにまだ入ったことがない。
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 韓国向けの半導体材料3品目を「輸出規制」した措置が、大きな問題に発展した。韓国は大反発、世界貿易機関WTO)にまで問題を持ち込み日韓が主張を応酬する事態に。両国の民間交流まで次々に中止になっている。
 問題を冷静に見るために、日経ビジネスの細川昌彦氏の記事《誤解だらけの「韓国に対する輸出規制発動」》の一読をお勧めする。(補足解説2,3もある)細川氏は元・経済産業省貿易管理部長である。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00133/00013/
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00133/00014/
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00133/00015/?P=2
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00133/00016/?P=2

 今回のいわゆる「輸出規制」とは、半導体材料のフッ化ポリイミド、レジスト、フッ化水素の3品目を韓国に輸出する際に、これまでは、一度申請すれば3年間は申請なしで輸出することができる包括許可方式だったのを、契約ごとに輸出許可申請が必要になる2004年より前の方式に戻しただけのことである。輸出入の実務に大きな混乱を及ぼすものではない。その理由は、輸出管理での意見交換に韓国が応じていないことと輸出管理に関する不適切な事案が発生していることだという。3品目はいずれも軍事転用可能な物資である。
 《包括許可を運用している中で、頻繁に管理がずさんな「不適切事案」が発生していることを把握すれば、これを放置することは輸出国としては許されない。ずさんな管理の結果、仮に第3国への流出につながることがあれば、日本は国際的に管理義務を果たしていないと厳しく糾弾されることになる。今回の措置は日本としては国際的に当然しなければならない措置なのだ。》(細川氏
 細川氏によると、この措置は韓国の半導体産業に甚大な打撃を与えることを目的にしたものではないのだが、それが一部のメディアで「日韓貿易戦争」などと煽られ、さらに両国の政治家に(日本ではおそらく参院選に向けて)利用されたことで日韓の大問題になったという。韓国は政権が求心力が欲しい時に反日をやる、などと批判されるが、いまの「反韓」路線はそれを日本がやっているということなのか。
 読売新聞社が22~23日に実施した緊急全国世論調査で、韓国に対する半導体材料の輸出管理を厳格化した日本政府の対応を「支持する」と答えた人は71%に上り、「支持しない」の17%を大きく上回った。この中には、「けしからぬ韓国を懲らしめてやった」と溜飲を下げた人も少なくなかっただろう。この措置を日本の政治家が、貿易管理とは全く関係ないはずの、徴用工や慰安婦の問題処理に言及しながら論じたからだ。政治家が国民の下司な感情を煽り、それがまた政治家の「嫌韓」言動を助長する悪循環になっている。
 日韓関係を冷静に見る木村幹氏(神戸大学教授)によると;
 《今回の一連の措置が政府・与党によって行われ、人々によって支持されている理由は、政策の効力にではなく、これにより「韓国を痛めつけ」あるいは「痛めつけようとする」のだ、と言うメッセージそのものにある事になる。つまり、この政策は韓国に対して向けられたものではなく、日本国内に対する「決意表明」であり、その「決意表明」が支持されている、と言う訳である。》

www.newsweekjapan.jp


 一方、韓国の文在寅大統領は支持率が上昇し54%と9ヶ月ぶりに最高値をつけた。日本の「理不尽な経済報復」に厳しく対応しているのが評価されている。韓国の方でも、徴用工や慰安婦問題の処理にからめて騒いでいるわけだ。実際の貿易実務では混乱は起きていないというのだが。
 いま日韓では、何をやってもすぐ火花が散る。木村幹教授によると、日韓関係は新たな段階に入ってきたという。先行きはかなり難しそうだ。
https://blogos.com/article/387055/?p=2

 私は、昨年末に起きた「レーダー照射問題」で、韓国はいったいどうなってしまったのかと大きな衝撃を受けたが、新段階の日韓関係を冷静にフォローしていきたい。
 

香港に人民解放軍「出動可能」と中国が声明

 ネコジャラシで知られるエノコログサ(狗尾草)。アスファルトの隙間からしぶとく生えてきてる。

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 花穂が犬の尾に似ているので犬っころ草と呼ばれたのがエノコログサになったという。世界中の温帯にあるが、「縄文時代前半まではなく、日本にはアワ作とともにアワの雑草として伝わったものと推測される」(wiki)という。アワの仲間なので、食べられるそうだ。
 「食用とする場合、エノコログサは脱粒しやすいのではたきなどで叩き落としざるで受けるのがよい。脱穀したのちすり鉢ですりつぶし、水選する。食べるときはアワと同様、粒のままでも製粉しても食べられる」という。
 どんな味がするのか、機会があれば食べてみたい。
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 若者が投票しない選挙が日本で行なわれている最中、香港では7週連続の大規模デモが続き、裏社会まで介入するなど緊張が高まっている。
 【7月22日 AFP】大規模な反政府デモが7週連続で行われた香港で21日夜、白い服を着た覆面集団が民主派のデモ参加者らをバットや棒で襲撃し、45人が負傷、うち5人が重傷、1人が重体となっている。襲ってきたのは「三合会(Triad)」と呼ばれる香港の犯罪組織のメンバーとみられており、卑劣な襲撃と警察の対応に怒りが広がっている。
    中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案をきっかけにしたデモは、民主改革と普通選挙を要求し香港が有する半自治権の縮小に抗議するより広範な運動へと発展している。こうした中、香港で暗躍する犯罪組織が干渉してくる新局面に、懸念が高まっている。
 襲撃者のうち数人は、中国本土のナンバープレートが付いた車で現場を立ち去る様子が映像に捉えられている。
 7週連続となった日中の大規模デモでは、香港市内にある中国政府の出先機関までデモ隊が行進し、庁舎に卵を投げつけたり落書きをしたりした。夜になると、市内中心部の商業地区で警察がデモ隊の排除に乗り出し、一帯は機動隊の放った催涙ガスに包まれ騒然となった。
 政府支持者による同様の襲撃は、2014年の民主派の大規模デモ、雨傘運動(Umbrella Movement)のときにも起きている。(略)
 一夜明けた22日、卑劣な襲撃と警察の対応に批判の声が上がっている。襲撃された人々は必死に助けを求めて通報を繰り返したが、現場に警察が到着するまで1時間以上かかり、しかも未明まで周辺の路上にいた覆面集団を逮捕しなかったという。
https://www.afpbb.com/articles/-/3236243?pid=21479318

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白い服の男たちがデモ隊に襲いかかった

 周庭(アグネス・チョウ・ティン)さんも警察を激しく非難している。

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https://twitter.com/chowtingagnes/status/1153263243176992768

 

 こうしたなか、中国の国防相が「香港で人民解放軍出動は可能」と異例の声明を出した。
【北京=多部田俊輔】中国国防省の呉謙報道官は24日の記者会見で、香港の「逃亡犯条例」改正案を巡る抗議活動に関連し、香港政府の要請があれば中国人民解放軍の現地部隊の出動が可能だとの立場を強調した。デモ隊の一部が中国政府の香港出先機関の国章を汚すなどしたことについて「一国二制度の原則の限界ラインに触れるもので、絶対に容認できない」と非難し、デモ活動の激化をけん制した。
 人民解放軍の香港駐留部隊に関する規定には「社会の治安維持」などのために香港政府の要請で出動できるとの条文がある。呉氏は記者からの質問に「香港情勢を注意深く見ている」と答えたうえで、「明確な規定だ」と同条文に言及した。
 これまで人民解放軍は「香港の内政問題には干渉しない」とコメントしてきており、香港駐留部隊の出動の可能性に言及するのは異例だ。香港政府は「人民解放軍に支援を求める計画はない」と出動要請の可能性を否定している。
 人民解放軍は1997年の香港返還に伴って香港に進駐した。陸海空軍がそろっており、合計の兵力は約6千人。規模は小さいが、隣接する広東省広州に拠点を置く部隊に実質的に付属しているとみられる。
 香港メディアは22日、人民解放軍広東省内で対テロ訓練を行ったと伝えた。通常よりも活発な訓練を行ったり、増員したりしているとの情報も流れており、香港での抗議活動の過激化をけん制する狙いがあるとの見方も出ている。
 香港の「逃亡犯条例」改正案を巡っては、民主派団体の呼びかけで6月16日に主催者発表で200万人近くが参加する大規模デモを実施した。香港政府トップの林鄭月娥行政長官は謝罪や改正手続きを再開しないことを約束したが、7月に入っても立法会(議会)を占拠するなど行動をエスカレートさせた。
 最近のデモの批判の矛先は中国政府に向かっている。21日には香港にある中国政府の出先機関「中央駐香港連絡弁公室」の前に約1千人の若者が集まって建物に卵を投げつけ、中国の国章に黒い液体をかける事態となった。(日経)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47730620U9A720C1EA2000/

 香港の運動が、「逃亡犯条例」という一つの法律の改正案の問題から、広く民主改革を目指すという方向に向かっている。当然、香港の行政府だけでなく、中国当局中国共産党とも闘うことにならざるを得ない。これから運動は、文字どおり正念場になるだろう。

選挙結果雑感

 今回の選挙は案の定、低い投票率だった。
 メディアの責任は大きいと思う。選挙期間中の報道ぶりも酷かったが、投票日翌日の22日(月)の朝のワイドショーにはあきれた。トップの話題は当然選挙結果かと思いきや、主要民放はどこも、お笑いタレントと吉本興業の内輪もめ。未明に最終の投票結果が出たばかりなのに。
 マスコミにはほとんど無視された「れいわ新選組」が、比例区で2議席獲得という大成果を上げた。ALS筋萎縮性側索硬化症の患者、船後靖彦氏(61)と脳性まひの木村英子氏(54)の2人で、この二人が参議院に登院すること自体が、政治はどうあるべきかを考えさせる材料になる。ショック療法として期待したい。

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舩後氏(右)と木村氏(左)

 当選した舩後氏は「弱々しく見えるが、根性だけは人一倍。これからが勝負」とのコメントを介助者が代読。車いす生活を送る木村氏は「私の姿を見て、地域に出ようと思う障害を持つ人が少しでも増えたらいい」と話した。
 「れいわ」はネットでの発信、拡散で選挙を盛り上げたが、今後、ネットを通じた新しい政治活動が見られるかもしれない。

 今回、投票率日本一は山形県で60.74%。もともと投票率が高い県だが、大接戦だったことも大きい。
 結果は野党統一候補、新人の芳賀道也氏が279,709票で当選、与党の現役、大沼瑞穂氏の263,185票を退けた。差はわずか2万6500。
 ウソのプロフィールを書いた大沼瑞穂氏(https://takase.hatenablog.jp/entry/20190714)を落選させたのを、山形県民の良識と讃えよう。
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 節気はもう大暑(たいしょ)である。暦の上ではもっとも暑い時期。今年はこれまで雨が多く、気温の低い日が多かったが、週末あたりからじわりと暑くなってきた。
 初候の「桐始結花」(きり、はじめてはなをむすぶ)が23日から。次候「土潤溽暑」(つち、うるおうてむしあつし)は28日から。8月2日からは末候「大雨時行」(たいう、ときどきにふる)。入道雲が出て夕立も来る。
 日曜日の夕方、ホタルを見にあきる野市の横沢入(よこさわいり)に行った。20年毎年通っているのだが、今年はすっかり遅くなり、ホタル狩りの人は見当たらない。人影のないいつもの湿地に近づくと、ブワーと鳴き声をあげイノシシがダッシュして走り去った。

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夕暮れの横沢入里山保全地域。七つの谷戸があり、私は右手の谷戸に通っている。

 やはりホタルはいないな、もうあきらめて帰ろうとしたら、点滅するいくつかの灯りが見えた。おお、オクテのホタルたち。帰り道、まるで道案内をするかのように1匹のホタルがついてくる。ホタルを見ると、この一年亡くなった知り合いを思い出すと同時に、来年もホタルに会いにこれるだろうかなどと物思いにふけってしまう。
 今年もよい夏が過ごせますように。

首相官邸が国民民主を支援の怪

 投票日直前、まさかと思う情報が・・
 静岡選挙区で、首相官邸が国民民主党の候補者を支援するという。さらに、ある番組でそれを報道しようとしたら局内で潰されたというのだ。

【特別寄稿】スクープ! 官邸への忖度か!? 参院選静岡選挙区に関する報道をめぐって、『報ステ』から消えた『6分』のVTR! 官邸は国民民主候補への支援と引き換えに改憲賛成を要求か!? | IWJ Independent Web Journal
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/453673

 17日の新聞のテレビ欄には、報道ステーションの番組予告では「“大物が続々応援”激しい駆け引き・・・静岡選挙区」とあったのが、用意された6分のVTRが突如降ろされ、「番組の内容を一部変更しました」とのテロップが流れて番組が終わったという。
そのVTRの内容は、菅義偉官房長官が静岡選挙区で立候補している国民民主党の榛葉(しんば)賀津也候補を支援するよう地元有力者に要請しているというもの。

 静岡選挙区では過去3回、国民参院幹事長の榛葉賀津也氏が自民と議席を分けあってきたが、そこに立憲民主党から徳川宗家19代目の徳川家広氏が立ち、一転して激戦区になっている。ここに首相官邸が「介入」してきたことは複数のメディアですでに報じられていた。
 《苦境に陥った榛葉に思わぬ強力な援軍が現れた。自民県連関係者は「官邸が榛葉にてこ入れしている」と声をひそめる。複数の関係者によると、榛葉と親しかった官房長官菅義偉が企業や公明の支持母体・創価学会に榛葉支持を働き掛けたという。徳川陣営も察知しており、関係者は「山が動いた。公明が怪しい動きをしている」と警戒を強めている。》(11日時事通信https://www.jiji.com/jc/article?k=2019071100713&g=pol

 また、静岡新聞が13日の朝刊1面トップで《「官邸依頼」で榛葉氏支援》の記事を載せていた。
 《5日夜、榛葉氏が浜松市中区の中心部で行った街頭演説に、スズキの鈴木修会長が突然姿を現した。
 過去の選挙でも取引先や関係企業を動かして政治的影響力を発揮してきた鈴木会長。2013年の参院選静岡選挙区では牧野氏を支援し、榛葉氏とは疎遠だった。今回選でも、全国軽自動車協会連合会の要職に就いている牧野氏を支援するとみられていた。ところが、鈴木会長は榛葉氏の演説を聴き終えると、記者団に榛葉氏支援を明言。「自民党の牧野氏は1位だから(榛葉氏の)2番目の当選を祈っている」と答えた。関係企業を含め榛葉氏を支援する方針だ。
 7日には袋井市での榛葉氏の集会で、国民民主党企業団体委員長の桜井充参院議員が「榛葉氏が厳しいから、自民党静岡県選出の元大臣に『票を回して』とお願いした」と明らかにした。
 複数の関係者によると、スズキ以外にも県内の大手企業や団体の一部が榛葉氏の支援に回った。脱原発を主張する徳川氏の当選を阻止したい思惑も透けるが、ある自民関係者は「首相官邸からの依頼だ。(参院選後の)改憲を意識しているのだろう」と話す。榛葉氏に恩を売って改憲へ協力を得る狙いとの分析だ。背景に静岡選挙区で自民が2人目の公認候補擁立を見送り、牧野氏が他候補に先行する選挙情勢もある。》
https://www.at-s.com/news/article/politics/shizuoka/656977.html

 公明党、財界も巻き込んだ榛葉候補へのテコ入れ。首相官邸の思惑は榛葉氏を改憲勢力に取り込むことだという。

 しかし、それ以上に問題なのは、こうした報道が忖度によってメディアで報じられなくなっていることだ。メディアの責任は重い。

いま東日本大震災のときの自民党を振り返る

 テレビが選挙期間中とは思えないほど「静か」で、どうなっているのかと思っていたら、実際、選挙報道が激減していた。

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 《テレビ番組を調査・分析するエム・データ社(東京都港区)によると、地上波のNHK(総合、Eテレ)と在京民放5社の、公示日から15日までの12日間で選挙に関する放送時間は計23時間54分で、前回に比べ6時間43分減っている。とりわけ「ニュース/報道」番組の減少が顕著で、前回から約3割減、民放だけなら約4割減っている。》(朝日新聞
 記事では、その理由として、視聴率が取れないことやクレームを怖れて発言時間を細かく管理する手間がかかることなどが挙げられるが、実は、選挙を扱うテレ朝の「モーニングショー」が高い視聴率を取っているという。
 安倍政権の6年を振り返り、日本の直面する課題、選挙の争点は何かを深く調査、分析する報道をやれば視聴者はついてくるはずだと思うのだが。
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 安倍首相が立憲民主党を「民主党」とわざと間違えるのは、「民主党政権時代は酷かった」という空気に乗っかろうとするものだが、実際に民主党政権はそんなに酷かったのか。
 民主党政権下で情報公開への取り組みは成果があって、外交文書の公開はかなり進んだ。東日本大震災でストップしてしまったが、いまの安倍政権の情報をとにかく隠蔽しようという姿勢とはまったく違っていた。
 高校の授業料無償化なども成果の一つだ。偏見なく見れば総合点で自民党政権よりは高い点をつけていいと思う。それがなぜか、メディアでも、民主党に政権を取らせてひどい事になったというイメージがふりまかれている。大震災への対応で責められるわけだが、あの未曽有の混乱のなか、自民党政権ならもっと悲惨なことになったのではないか。

 選挙戦の中、ある漁師がブログで震災のとき、自民党が、震災対応より民主党政権の足を引っ張ること優先したことを振り返って糾弾している。

「私は絶対に忘れない!」―
東日本大震災の千年に一度の「国難」で、超党派での対応が必要な時に、野党自民党民主党の復興政策案の全てに反対 「審議拒否」や「内閣不信任案」までしていた 何たる事か!】
https://blogs.yahoo.co.jp/sasaootako/64967420.html
《震災から2ヶ月後あたりだった。みんながまだ避難所にいた。
 被災現場は、瓦礫の撤去もまだで、自衛隊員、消防署員、警察などの捜査活動で、遺体がドンドンあがり、棺桶が間に合わず、火葬場も津波でなくなり、やむを得ず、身元の分からない遺体は棺桶ナシで土葬したりして、非常に混乱してた時だった。
 そんな時、国会では与野党協力してあの「国難に対応すべき」だったはずなのに、野党の自民党民主党政権の「復興政策案、予算案の全てに反対して、果ては 「審議拒否」や「内閣不信任案」まで提出し「解散総選挙」を求めていたのだ。
 私は、あの卑劣な自民党の行為を忘れない。また、ラジオでかたずをのんで、国会を聴いていた被災者達も「呆れ返り、いら立ち、怒りが噴出」し、自民党の批判が続出したのだ。
 その時、痛感した。自民党の身勝手で、非人道的政治なんだと。 現場にも来ずに見てもいない自民党議員達は、東日本大震災を利用して、 民主党を叩き、「政権奪回」だけを狙っている卑劣な党なんだと・・。》
 また、当時の自民党の審議拒否がいかにひどかったかを指摘している。
 《相次ぐ安倍政権の森加計疑惑や不祥事を追及のために、野党が国会の「審議拒否」を続けていることが批判を浴びている。
 しかし、見るがいい。
自民党が野党時代には、今の野党よりも多い「審議拒否」をやっているのだ。》
 2009年から2012年までの民主党政権時代、《3年で85回も「審議拒否」はあまりにも異常なことです。
 明らかに、これは、当時の民主党政権を「困らせ。何も出来ない政党」というのをなんの大義もなく、ただただ印象操作するための行った戦略です。》
 震災の被害者だからこそ忘れえない自民党の「印象操作」。印象操作が大好きな安倍首相にだまされないようにしましょう。

 日本は好景気だと懸命にアピールする安倍首相だが、日本経済が世界で圧倒的に負け組になっていることはいくつか統計を見れば一目瞭然だ。
 95年日本のGDPは世界の18%だったのが2001年から急降下して今は6%。GDPを指標にするのは古いというなら、実質賃金がとくに安倍政権になってから大きく下がっている。

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 2018年の調査結果と比較すると、貯蓄ができていない人(「0万円」)の割合は、2018年17.1%→2019年23.1%と、6.0ポイント増加している。(SMBCコンシューマーファイナンス)貯金できない人が1年でこんなに増加しているのだ。
 ウソをつく政治家は落としましょう。
 山形にも嘘つき候補者がいるので、よろしく。https://takase.hatenablog.jp/entry/20190714

安田純平さん 旅券発給を拒否される

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 日陰にひっそりと咲くミズヒキ。ご祝儀の水引のように紅白(上から見ると赤、下から見ると白)の花をつける。可憐だ。日本のどこにでもある雑草かと思っていたら、沖縄では絶滅危惧種に指定されているという。
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 京都アニメーションの火災は、33人死亡(18日深夜段階)という大惨事となった。日本を代表するアニメ制作会社で、テレビ業界ではその仕事の質が非常に高く評価されていた。犠牲になった方々のご冥福をお祈りします。
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 安田純平さんが先週金曜に、東京都の旅券課から呼び出されて出頭したところ、「一般旅券発給拒否通知書」(10日付け)を渡されたという。安田さんは1月あたまに旅券を申請したが、これまで発給されないままだった。今回、旅券は発行しないと正式に通知されたわけである。
 安田さんのメルマガによると;
 《理由として「 貴殿は、平成30年(2018年)10月24日、トルコ共和国から同国への法規に基づく入国禁止措置(5年間)を受けたことにより、同国への入国が認められない者である。よって、貴殿は、一般旅券の発給等の制限の対象となる旅券法13条第1項第1号に該当する 」と書かれています。
 トルコが入国拒否だからといって、なぜ世界中どこにも行けない「出国禁止」になるのか理解に苦しむ内容です。》
 《発給拒否すること自体が目的と化しているとしか思えない法の運用です》と安田さんは書いているが、シリアでISや他の武装組織に拘束されて生還した各国のジャーナリストで、こんな仕打ちを受けた人を知らない。安田さんは被害者なのに、これでは罪人扱いだ。
 安田さんは、行政不服審査法に基づく審査請求や処分取り消しを求める訴訟を起こすことを考えているという。
 お上に逆らいそうなやつは徹底して排除するという現政権の体質がここにも表れている。

 

 一方、安倍首相べったりのジャーナリストは特別優遇を受けている。山口敬之氏(元TBSワシントン支局長)は伊藤詩織さん「準強姦容疑」で逮捕される寸前、当時の警視庁刑事部長で現・警察庁ナンバー3の官房長・中村格氏に逮捕を中止してもらった。
 しかも、TBSを退社後、菅官房長官の口利きで、某会社の顧問として月々高額の報酬をもらっていたという。
 伊藤詩織さんが山口氏を訴えた裁判の口頭弁論が、7月8日にあったが、裁判にこの高額「顧問料」が登場する。
 《山口氏は詩織さんに対して名誉毀損などを理由に1億2000万円の反訴を提起しており、詩織さんに被害を訴え続けられ、ジャーナリストとしての社会的生命を断たれたことなどで1億円の営業損害を受けたと主張している。注目すべきはテレビ番組出演などの営業収入1400万円ほどに加え、顧問料が2社で約750万円。》https://www.dailyshincho.jp/article/2019/07121845/
 一度も出社することなく、顧問料を受け取っていたのだという。
 同じジャーナリストでもここまで扱いが違うのか。

 現政権下では、法の下の平等という民主主義の大原則はどうでもいいらしい。
 《15日に札幌市中央区であった安倍晋三首相の参院選の街頭演説の際、演説中にヤジを飛ばした市民を北海道警の警官が取り押さえ、演説現場から排除した。》
 一方で、京都では山本太郎の演説をハンドマイクを持って演説妨害した人を警察は黙認。メディアではほとんど報じられないが、自由選挙の根本にかかわることだ。

 ついでに言っておくと、選挙戦での安倍首相の汚い手法は目に余る。
 「立憲民主党」の党名を「民主党」と間違えるのだが、ついうっかりではなく、意図的なネガティブキャンペーンでやっている。幼稚きわまりない。恥ずかしくないのかな。

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毎日新聞より



世界報道写真展2019を観に行く

 東京都写真美術館に「世界報道写真展2019」を観に行った。
https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-3437.html
 「スポットニュースの部」で大賞を受賞したのがフォトジャーナリスト、ジョン・ムーア氏のこの写真だった。

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 2018年6月12日、米国テキサス州マッカレンで、母親サンドラ・サンチェスが国境監視員の取り調べを受けている間、泣き叫ぶホンジュラスの子どもヤネラ。
 米国に亡命しようと、1ヶ月かけて中米からメキシコへと移動してきた母子は、国境の川を渡って米国に入り、拘束された。トランプ政権は「ゼロ・トレランス」(不寛容)政策を発表し、不法に越境し拘束されたものを刑事訴追すると述べたが、その結果は親子が切り離されて別の収容施設に送られた。この写真は大きな反響を呼び、抗議を受けてトランプ大統領は同年6月20日に政策を覆すことになったという。1枚の写真が政治を動かしたわけである。
 ジョン・ムーア氏は1968年米国テキサス州生まれ。ゲッティイメージズ所属。受賞歴は計4回の世界報道写真賞、ピューリッツアー賞、ロバート・キャパ・ゴールドメダル賞など多数というスタージャーナリストだ。 
https://www.pen-online.jp/news/culture/jonhmoore_2019/1

 ある写真展レポート(関根慎一氏による)に、来日したジョン・ムーア氏の記者会見が紹介されていた。https://dc.watch.impress.co.jp/docs/news/exhibitionreport/1192233.html
 紛争地など危険な場所で、撮るべき写真とリスクのバランスをいかにとるかという問題では;


——リスクのお話についてもう少し聞かせてください。そういった危険な取材現場においては、どのようにして安全を確保していたのでしょうか。

ジョン・ムーア:個々のプロジェクトにそれぞれ異なるリスクがあるのですが、私の場合、特に中央アメリカの現状を取材する際には、現地のジャーナリストと行動をともにするようにしています。彼らは現地の内情を詳しく知っているので、取材をするにしても、より条件の良い場所に連れていってもらえますし、現場からすぐに離れなくてはならない状況に陥ったときにも、避難誘導してもらえますから。

——命の危険を冒すリスクのある職業ですが、どうして報道フォトグラファーの職に就く道を選んだのでしょうか。

ムーア:私は何か、世界に変革を起こすようなストーリーを伝えたいと思っていますし、同時に、誰も見たことのない写真を届けたいという思いが強いんです。私はプロの写真家になって27年になりますが、これは多くのジャーナリストがそういった想いで仕事をしていると思いますし、私自身も、そういった想いは今でも変わらず持ち続けています。

——ムーアさんにとって、報道写真とはどのような力を持っているものなのでしょうか。
ムーア:報道写真は「フォトグラフィ」と「ジャーナリズム」の2つの要素を持っていますが、私はこのうち「ジャーナリズム」の方に興味を持っています。いかに写真でストーリーを伝えるかに興味を持ってこの仕事をしています。ですが「フォトグラフィ」も重要です。

 いま、スマートフォンSNSの発達によって、世界中で多くの人々が写真を目にするようになりました。もしかしたら、1枚の写真を見る時間は1秒もないのではないでしょうか?そうした状況の中、写真が多くの方に興味を持ってもらえなければ、その先にある記事を読んでもらえませんよね。なので報道内容を知ってもらうためには、まず「写真的に強いイメージ」を打ち出す必要があります。報道写真にはそういう力があるのです。

——撮影している時に意識していることはありますか?

ムーア:写真を見る人と写真そのものを、いかに感情で結びつけるかを常に考えています。人々は写真の詳細については憶えていませんが、感情を掻き立てた写真は憶えているものです。

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 戦場のど真ん中で兵士がスマホで動画を撮り、即座に世界に配信できる時代である。速報性では現場の人にかなわないだろう。また動画の生々しさと情報量には静止画である写真は対抗できないのではないか。報道写真は存在意義の問われる時代に入ったのではないかとさえ思っていたので、このあたりはとても興味深い。
 ムーア氏はフォトグラフィよりジャーナリズムを重視するが、大量に映像が反乱している今だからなおさら、写真のインパクト(感情を掻き立てる写真)で引きつける必要があると考えているようだ。
 また、以下のように、静止画の影響力は今も強いままであり、SNSの発達でむしろプロの映像の重要性が大きくなっていると認識しているようだ。

 

——写真を発表する場の環境は、ムーアさんがフォトグラファーになった27年前と現在とでかなり違うと思うのですが、当時と今でご自分の撮影した写真の影響力の違いを感じることはありますか?

ムーア:仰るように、一枚の写真が世の中に与える影響力は、以前よりもさらに高まってきていると感じています。SNSの台頭で、イメージが持つ影響力の強さはより顕著になっており、そこには動画と静止画の両方が混在していますが、静止画の影響力は依然として強いままです。

 それには静止画が撮ったあと編集を経ずにすぐ拡散できること、そして「アイコン化」できるという特性が関係しているのかもしれません。今回の受賞作品の閲覧回数をゲッティイメージズに調べてもらったところ、総閲覧回数は数十億回にのぼったそうです。これは以前では考えられなかったことです。

 

 世界放送写真展は毎年観ているが、いつも、この世界にはいかに紛争、抗争が多く、いかにたくさんの人々が苦しみ、悲しんでいるかと暗澹たる気持ちになる。
 同時に、そうした現実を伝えようと奮闘する多くのジャーナリスト、フォトグラファーがいることに励まされる。

 個人的には、自分もよく知っているマニラのパッシグ川の写真(環境の部の第3位)に惹きつけられた。マリオ・クルス氏(ポルトガル)の撮影。

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 パッシグ川は世界ワースト10に入る汚染された川で、水面に浮かぶゴミの上を歩けるほど。そのゴミの中でマットレスに横たわる子どもがいる。天国なのか地獄なのか、シュールささえも漂っている。

 写真展は8月4日(日)まで開催中。関心のある方はどうぞ。